「食料品の消費税減税(約5兆円規模)」に対して、「たかが5兆円であっても、現在の日本経済にとっては極めて悪手である」と考える経済学者は非常に多いです。
財務省や政府の財政審議会、多くの民間シンクタンク(大和総研、野村総研など)のチーフエコノミストたちの間では、これが主流のコンセンサスとなっています。
金額の多寡(5兆円という規模)ではなく、「今のタイミングで消費税をいじること自体が、経済に致命的な副作用をもたらす」とされる主な理由は以下の4点です。
1. 5兆円を「無駄削減」だけで生み出すのは非現実的
政府は国債を発行せず、徹底した歳出改革(予算削減)で5兆円を賄うとしています。
• 経済学者の見方:
予算の「無駄」を削るだけで毎年5兆円(防衛費増額の財源よりも巨額)を安定して捻出するのは、現実的に不可能です。
もし本当に強行すれば、高齢化で増え続ける医療・年金・介護などの社会保障予算を直接削るか、他の成長投資を止めるしかありません。
これでは国民の将来不安を煽り、かえって財布の紐を固くさせ(消費の冷え込み)、減税の効果を完全に打ち消してしまいます。
2. インフレ(物価高)をさらに悪化させる
現在の日本は、需要が足りないデフレではなく、人手不足や円安による「コストプッシュ型のインフレ」です。
• 経済学者の見方:
日銀が物価安定(インフレ抑制)のために利上げを進めている局面で、政府が5兆円規模の減税で消費を刺激するのは、「日銀がブレーキを踏んでいるのに、政府がアクセルを踏む」という致命的な政策矛盾です。
結果として物価高が長引き、減税で浮いた分以上の生活苦を国民に強いることになります。
3. 「金利上昇局面」での市場の不信感(トラスショックへの懸念)
日本はコロナ禍の国債大量発行のツケにより、約30年ぶりの長期金利上昇局面にあります。
• 経済学者の見方:
具体的な削減項目を明示しないまま「5兆円減税する」と発表すれば、市場は「結局は国債増発(借金)に頼るのではないか」と疑います。
利上げ局面での財政規律の緩みは、日本の国債暴落やさらなる猛烈な円安(インフレの悪化)を招く恐れがあり、かつてイギリスで起きた財政破綻危機(トラスショック)の日本版になりかねないと危惧されています。
4. 減税に伴う「莫大な社会的コスト」
消費税率の変更(8%から1%への引き下げ、そして2年後の引き上げ)は、現場に凄まじい負担を強います。
• 経済学者の見方:
全国の中小企業や小売店は、短期間に2度もレジシステムや受発注管理の改修を迫られます。その事務負担や経済的損失は、5兆円の減税効果を相殺するほど大きいと指摘されます。
また、2年後の増税直前には駆け込み需要、直後には深刻な消費の冷え込みという「人工的な景気の乱高下」を生み出し、経済を混乱させるだけだという見方が大勢です。
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