地球温暖化の議論やパリ協定などの国際目標においては、気温だけでなく海水温(海面水温)の上昇幅もすべて1850年〜1900年の50年間の平均値をベースラインとして採用しています。
現代の高度な観測に比べれば粗さはあるものの、「地球全体の平均的な傾向を把握する」という目的においては、十分に信頼できると科学的に判断されています。
1850年〜1900年のデータが信頼できるとされるのには、主に3つの理由があります。
1. 商業船舶による膨大な「生データ」が存在する
19世紀後半は大航海時代の流れをくむ世界的な交易の全盛期でした。当時のイギリスやアメリカなどの商船や軍艦の乗組員は、航海日誌に毎日、温度計を使った正確な気温や海水温(バケツで海水を汲み上げて測定)を記録していました。
2. 人為的なミスや誤差を補正する技術がある
当時の測定には現代から見るといくつかの「クセ」や「誤差」がありました。
例えば、海水温を測る際に「木製のバケツ」から「帆布(キャンバス生地)のバケツ」に変わった時期があり、キャンバス製は引き上げる間に水が蒸発して温度が低めに出る、といった問題です。
現代の気候科学者は当時の船の速度、バケツの材質、船の甲板の高さなどを一隻ずつ細かく分析し、統計的な手法でこれらの誤差を徹底的に修正(補正)しています。
3. 温度計以外のデータ(代替データ)との一致
1850年以降の温度計の記録は自然界が記録した「気候のカルテ」とも一致しています。
木の年輪の幅(温かい年ほどよく育つ)
サンゴの骨格の化学組成(水温によって成分の比率が変わる)
氷河・氷床のコア(閉じ込められた空気の成分)
これらの温度計を使わない独立したデータ(プロキシデータ)を重ね合わせても、1850〜1900年の気温・海水温のグラフはきれいに一致します。
そのため、当時の温度計の記録は全体として正しいと結論付けられています。
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