一瞬のうちに放たれる鋭い光と、けたたましい音。
地震、火事、親父(おやじ)と並び、怖いものの代表格にも挙がる「雷」。しかし、あるフレーズに目がとまった。
“雷が多いと豊作になる”
そういえば、「雷」は“雨”の下に“田”。あの鋭い光「稲妻」は“稲の妻”。米どころ新潟には“雷の土”と書いて「雷土(いかづち)」と読む地名もある。
コメ農家で育った私は、ある種の「使命感」に突き動かされながら“雷が豊作をもたらす”という言い伝えが本当なのかを「サイエンス」で迫ることにした。
◆言い伝えを記録する人を訪ねる
言い伝えの手がかりを求めて訪ねたのは、日本民俗学会の会員の青柳智之さん。
今から20年余り前。
青柳さんは当時、大学院で専攻した民俗学がきっかけで、雷にまつわる伝承や記録について調べていた。すると、いろいろな伝承が残されていた。
(鹿児島県曽於市財部町 大正5年生まれの女性)
“雷の鳴る年は豊作だ”
(福島県会津坂下町 大正14年生まれの男性)
“稲光は一肥やし分ある”
(山形県最上町 昭和3年生まれの男性)
“夜光は上作になる。それは稲に乳を飲ませに来るからだ”
※青柳智之著「雷の民俗」より
私が聞いた言い伝えは、全国各地にあることが分かった。
◆雷と稲の関わりは1000年以上前から
この言い伝えの起源は、いつごろなのか。
1000年以上前に編さんされたとされる「日本書紀」に、手かがりが残されていることを突き止めた。
史書に目を凝らすと、「雷電」の文字。「イナツルヒ」という振り仮名が読めた。
これは「イナツルビ」のことを指し、当時は稲と雷が交わって実がつくと信じられていたという。
雷と稲の関わりは、奈良時代(1000年以上前)から始まっていたのだ。
(青柳さん)
「伝承とは私たちの祖先が培ってきた『経験の結晶』といえる。それが口伝えや信仰などさまざまな形で現在に受け継がれている」
以下ソース
https://www3.nhk.or.jp/news/special/sci_cul/2022/10/s...
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