五輪談合 利益最大52億円…1社あたり 元次長 罪認める 初公判
2023/07/06 05:00
東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)に問われた大会組織委員会大会運営局元次長・森泰夫被告(56)の初公判が5日、東京地裁(安永健次裁判長)であった。森被告は「間違いありません」と述べ、起訴事実を認めた。談合事件では、広告最大手「電通グループ」など6社と森被告や同社の元幹部ら計7人が起訴されたが、公判が開かれたのは初めて。
検察側は冒頭陳述で、談合に関与したとする7社が得た粗利益は1社当たり最大で約52億円に上るとし、「談合の結果、各社とも他のスポーツイベントと比べて高い割合の利益率になった」と指摘した。
起訴状によると、森被告と電通元スポーツ局局長補・ 逸見へんみ 晃治被告(55)ら計7人は2018年2~7月頃、組織委が発注するテスト大会の計画立案業務や実施業務、本大会の運営業務について、落札予定企業を事前に決めるなどして談合したとしている。
冒頭陳述で、検察側は、森被告は16年秋以降、テスト大会の準備が遅れていたことに危機感を抱き、逸見被告らとともに、競技会場ごとに各社の希望を聞き取ってまとめた「一覧表」を作成して共有したと指摘。
入札が不調となって大会開催に影響が及ぶ事態を避け、自身の差配で成功に導き、スポーツ業界での地位や名誉を保持したいと考え、受注調整を図ったと訴えた。
18年2月以降、各社の担当者を組織委の事務所に呼び出し、競技会場ごとに受注予定企業を伝達するなどした結果、同4月、森被告と7社との間で、森被告や電通が決めた割り振りに従うことで合意し、談合したという。
テスト大会の計画立案や実施、本大会運営業務の総額は計約437億円。計画立案業務を落札した企業は、組織委の方針に基づき、本大会の運営業務なども随意契約で受注し、7社の受注総額は全体の95%にあたる約418億円に上った。
7社がそれぞれ得た粗利益は約52億円~約6億円で、イベント会社「セレスポ」の粗利益が最も大きかった。
7社のうち、広告大手「ADK」は独禁法の課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき、公正取引委員会に違反を自主申告したため、刑事告発と起訴が見送られた。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230706-OYT1T50050...
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