「韓国中がセウォル号」と最初に書いたのは、朝鮮日報だった。
次々に発生する大事故の背後にあるのは、常に業者の違法な手抜き、賄賂をもらって黙認する監督官庁だという指摘だ。
この4月も「韓国中がセウォル号」と呼べるような事故が起きた。
ソウル市に隣接する地域で、橋梁の歩道部分が崩落して2人が死傷した。
歩道部分の崩落事故があったのは、京畿道城南(ソンナム)市の炭川(タンチョン)に架かる亭子(チョンジャ)橋だ。
長さ110メートル、車道部分の幅26メートルで、1993年に完工した。
崩落した歩道橋部分は「カンチレバー工法」だった。車道部分から伸ばした鉄筋の梁(はり)の上に橋板を敷く。
車道部分には支柱があるが、歩道部分は宙に浮いていた。
この工法は日本でも珍しくない。例えば、マンションのベランダ部分だ。
そこにエアコンの重たい室外機を設置してもビクともしない。
ところが、韓国紙を読むと「何ッ」に行き当たる。中央日報(韓国語サイト、2023年4月7日)にこうある。
《(橋梁建設の)学界は、盆唐新都市造成当時、推奨されない「重ね継ぎ方式」の施工が行われたと見て、同様の工法で建設された橋の崩壊の危険性を提起した。
専門の教授は「重ね継ぎ方式は、突然崩壊する危険性が高く、推奨されない」》
車道部分から伸びてきた鉄筋の梁ではなく、別の鉄筋を車道部分に差し込み、つなぎ合わせて歩道部分の支えにしていたのだ。
学界が「推奨しない」方式が採用された背後には何があったのだろうか。
韓国にも法定の点検制度がある。亭子橋の場合は、21年5月の精密点検の結果、「一部部材の補修が必要」とされたものの、判定はC等級(普通)だった。
22年12月に補修工事を行った後はB等級(良好)に上がった。
亭子橋の事故は「まともな点検が行われているのか」という疑念を広めた。
炭川に架かる橋梁24のうち16が亭子橋と同じ工法によることも明らかになった。
うち3つの橋梁では、歩道橋部分の垂れ下がりが確認された。
19~25センチの垂れ下がりというから、目視確認できるはずだ。
が、市当局は亭子橋の事故があったので点検してみて「初めて知った」という。
住民も「こんな垂れ下がりぐらいケンチャナヨ(大丈夫だ)」で通報しなかったのだろう。
日本では、減価償却年限を基準にして鉄筋コンクリートの橋梁の寿命を一応60年としているが、実際にはメンテナンスが良ければ、はるかに寿命は延びる。
韓国では橋梁の寿命を30年としている。地震もめったに発生しないのに、なぜ日本の半分なのか。
おそらく「技術的自信」がないからだろう。
「ソウルには30年を超えた橋梁が282本ある」「全国では何本になるのか」「早く架け直せ」…亭子橋事故を発端とした騒ぎは、しばらく収まりそうにない。
https://www.zakzak.co.jp/article/20230427-6UA4MLTGGRM6B...
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