米軍がイラン全土を完全に「掌握」して脅威をゼロにするというのは、現実的にはほぼ不可能というのが軍事・政治の専門家たちの共通認識です。
そう言える主な理由は3つあります。
1. 地理的・物理的な壁
イランは日本の約4.4倍の国土を持ち、険しいザグロス山脈が連なる天然の要害です。ドローンの隠匿性: 最新の自爆ドローンやミサイルは、地下トンネルや民家のガレージ、山間部の隠れ家からでも発射可能です。
全土を「掌握」するには、イランにある数万カ所の「穴」をすべて塞がなければなりませんが、ベトナムやアフガニスタンの教訓から見ても、それは物理的に不可能です。
2. 「代理勢力」による外部からの攻撃
仮にイラン国内を力で押さえつけたとしても、ホルムズ海峡を狙えるのはイラン軍だけではありません。
域外ネットワーク: イエメンのフーシ派やイラクの親イラン武装組織が、イランの代わりにドローンやミサイルを飛ばすことができます。
イラン本国が占領されれば、これらの組織はむしろ「聖戦」として攻撃を激化させる可能性が高く、海峡の安全性はかえって損なわれる恐れがあります。
3. 膨大なコストと「泥沼化」
トランプ氏が最も恐れているのがこれです。
占領コスト: イラン全土を掌握・統治するには、かつてのイラク戦争を遥かに上回る数十万人の地上軍と、天文学的な軍事費(年間数百兆円規模)が必要になります。
ゲリラ戦の継続: 政権を倒しても、残党が非対称戦(ゲリラ戦)に移行すれば、米軍は「終わりのないテロ対策」に忙殺されます。これでは「海峡の安全」どころか、米軍そのものが標的になり続けるだけです。
結論
「全土掌握で解決」という意見は、地図上の理論としてはシンプルですが、実戦や統治の現場では非現実的な楽観論に過ぎません。
イラン側もそれを熟知しているからこそ、「米軍が地上軍を送って占領することなどできない」と踏んで、非対称戦で粘り続けているのです。
トランプ氏が軍事作戦を「一時停止」し、交渉に舵を切っているのも、この「全土掌握」という選択肢が現実的ではない(再選を狙う自分にとっての自殺行為である)と理解しているからだと言えます。
返信する