
結論: 1972年の米中共同声明(上海コミュニケ)では、アメリカは日本のように「中国政府の立場を十分理解し、尊重する」とは言わず、より曖昧な表現を採用しました。具体的には、「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国は一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることをアメリカは認識する(acknowledge)」と述べました。つまり、アメリカは中国の立場を「承認(accept)」したのではなく、「認識(acknowledge)」にとどめ、台湾の地位について自らの立場を明確にすることを避けたのです。
🇺🇸 アメリカの立場(1972年上海コミュニケ)
ニクソン訪中の成果として発表された共同声明。
アメリカは次のように表明しました:
「台湾海峡の両側のすべての中国人が、中国は一つであり、台湾は中国の一部であると主張していることを認識する」
「アメリカはこの立場に異議を唱えない」
ここで重要なのは “acknowledge” という言葉で、これは「承認(accept)」ではなく「認識」にとどめる外交的表現です。
この曖昧さにより、アメリカは中国との国交正常化を進めつつ、台湾との関係を完全には断ち切らない余地を残しました。
🛡️ 台湾を支援する根拠(法的・政策的)
アメリカが台湾への関与を維持し、支援を行う根拠は、主に**「台湾関係法」**という国内法と、長年の**政策原則**に基づいています。
### A. 台湾関係法 (Taiwan Relations Act: TRA)
1979年にアメリカが中華人民共和国と国交を樹立する際、同時にアメリカ議会で制定された**アメリカの国内法**です。これは、外交関係の断絶後も**非公式な関係**を維持するためのものです。
* **平和的解決の強調**:この法律の第2条(b)(4)では、「**平和的手段以外で台湾の将来を決定しようとするいかなる試みも、西太平洋地域の平和と安全に対する脅威であり、米国にとって**深刻な懸念**である」と明記しています。
* **防衛能力の提供**:台湾が自衛のために十分な防衛能力を維持できるよう、**防御的な性質の物資及び役務(武器など)**を供与することをアメリカ大統領に義務付けています。
* **介入のオプション**:中国による武力行使があった場合、大統領が**軍事行動を含めた適切な対応**を取るオプションを認めています(ただし、**介入の義務を定めたものではありません**)。
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