10万人が犠牲となった東京大空襲から10日で80年です。東京・墨田区では多くの遺族が参列するなか慰霊の法要が行われました。
10日、墨田区の東京都慰霊堂で、秋篠宮ご夫妻も参列されて慰霊の法要が行われました。
慰霊堂には今も、その後の空襲も含めた10万を超える犠牲者の遺骨が安置されたままで、大半は身元が分かっていません。
法要では東京都慰霊協会の青山 ※ヤスシ会長が「悲惨な出来事を風化させることなく次の世代へ将来への教訓として生かしていくことが今を生きる私たちの使命です」と述べました。
そして、東京都の小池知事や遺族の代表などおよそ160人が焼香し、犠牲になった人たちを追悼しました。
※ヤスシは、「にんべん」につくりが「八」の下に「月」。
●“誰かが受け継いでいかないと”
法要のあと遺族の代表として参列した2人が取材に応じました。
このうち夫の父親が空襲で亡くなったという田中洋子さん(81)は「今もお墓には髪の毛一本入っておりません。80年の節目になりますが、いまも戦争で苦しい思いをしてる人がたくさんいるので戦争の経験がなかったものにならないよう、誰かが受け継いでいかないといけないと思っています」と話していました。
また、親戚が犠牲になったという内田和江さん(87)は自身も東京大空襲を経験していて「80年たっても空襲の光景がどんどん浮かんできて、胸が苦しいです。死体の山を逃げて生き残りました。やけどの痕は薄くなってもつらさは変わりません」と話しました。
その上で「戦争で苦労を重ねた人がたくさんいますので、その経験を絶対に忘れてはいけない。今を生きる幸せなお子さんたちに伝えていかなければと思っています」と話していました。
また、慰霊堂の建物の外にも献花台などが設けられていて、多くの遺族が訪れて静かに手を合わせ、犠牲になった肉親を悼んでいました。
両親ときょうだいのあわせて5人の家族を亡くした90歳の男性は車いすで訪れ「来年は来られるかわからないのでどうしてもと思って来ました。私は疎開していたので家族がどこでどう死んだのかわからないんです。なぜ死んでしまったんだ。平和が一番で、今の世界を見ていてももう本当に戦争はやるなと言いたい」と話していました。
また、父親と訪れた33歳の女性は曽祖父や曽祖母などが犠牲になったということで「父に誘われて、初めて来ました。今まで実感がありませんでしたが、今もこれだけ多くの人が亡くなった人を思われていると知って身近なことなんだと感じました。もう少しいろいろ考えるきっかけになりました」と話していました。
祖父母や3人の叔母が犠牲になったという74歳の女性は孫と一緒に訪れ「空襲では父だけが助かったんです。90代の父は今は施設に入っていて、来られなくなったので代わりに来ています。孫たちには家族を失った父のようなつらい思いをさせたくないです」と話していました。
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