K-POPに限らず、韓国の話題は、政治的な主張と結びついて拡散してしまうのだが、一旦そこは保留して冷静に考える必要があるだろう。
このイベントに意味があるのかないのかをちゃんと検証するのであれば、隣国に対するバイアスを一旦取り払って、客観的に行う必要がある。
国際交流のイベントは、各所で頻繁に行われている。筆者自身も、代々木公園のタイフェスティバルや台湾フェスティバルに行って楽しんでいるし、最近では、都内のカリブ・ラテンアメリカのイベントに行ってきた。
K-POPにはあまり興味がないので、イベントがあっても行かないのだが、集客力があり、十分な効果が見込めるのであれば、自治体の主催であっても、やってもいいと思っている。
ライブ開催にかかる費用は、県内で過去に開催された博覧会の収益からなる基金を活用する方針で、「税金ではない事業収益金が主としてあてられる」としている。
■奈良県民の声を聞くべき
自治体のことは自治体で決めるというのが原則であると思うし、自県で稼いだお金の使い道は自県で決めればよい。聞くべきなのは奈良県民の声であり、外部の人の意見に過剰に惑わされる必要もないだろう。
2010年代以降、テレビで韓国ドラマが放映されたり、K-POPアーティストが出演したりすると、「韓国のゴリ推し」という批判が起きるようになった。2011年にはフジテレビに対する抗議デモや、同局のスポンサーの1つであった花王に対する不買運動も起こった。
多くの批判とは裏腹に、テレビ局が韓国コンテンツに頼るのは、「低コストで数字(視聴率)が取れるから」というシンプルな理由からで、SNSで語られているような、政治的な意図もなければ、陰謀もない。
現在は、韓国の芸能事務所に日本人タレントも所属するようになっているし、そこから多国籍のグループも生まれている。韓国は物価も高騰しているが、移動に関わる費用や出演料も鑑みると、「国際交流イベント」として費用対効果は悪くはない可能性も十分に考えられる。
本当に経費が有効に使われているのか、かけた費用に対して十分な効果を上げているかの検証はこれからの課題だが、SNSの声やメディア報道に流されることなく進めてもらいたいと願っている。
西山 守 : マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授
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