入国税、赤字抑制…スイス冬期議会の注目ポイント
スイスでは2日、冬期連邦議会が始まる。入国税や第三国からの親族呼び寄せなど、日本人にも関係しうる論点が審議される。赤字財政を禁じ手とするスイスの予算配分攻防は、債務膨張が続く日本の参考にもなりそうだ。
このコンテンツが公開されたのは、2024/12/01 08:30
冬期議会は12月2日から19日まで。以下の論点が審議される見通しだ。
内政・移民政策
電子身分証明書(E-ID):スマートフォン上の身分証明書を創設する法案が、国民議会(下院)で3月に、全州議会(上院)で9月にそれぞれ可決された。データ保護やセキュリティの問題について両院で小さな差異が残っていたが、今冬期議会で解消する。連邦内閣は2026年にE-IDを導入する方針だ。
E-IDはスマホにアプリをダウンロードし、カメラで物理的IDカードをスキャンすることで作成できる。さらに本人写真をアップロードし、連邦警察の確認を受ける必要がある。作成は任意で、アルコール購入時の年齢確認や、臓器提供の意思表示、犯罪記録の電子申請がアプリ上でできるようになる。国外居住者は政府サービスや銀行サービスを受けやすくなると期待される。
入国税:議会第1党の国民党(SVP/UDC)のトーマス・エッシ議員は、オーバーツーリズム(観光公害)対策としてスイスに入国する全ての外国人から25フラン(約4200円)を徴収する案を発議外部リンクした。収入はスイスの基礎年金である老齢・遺族年金(AHV/AVS)の財源に充てる案だ。
エッシ氏はブータンの例を引き合いに出す。同国では1日当たり200ドルの観光税を徴収している。エッシ氏は発議のなかで「スイスの入国税が25フランというのは、観光客にとっては経済的に払える額だろう」と述べている。
家族の呼び寄せ: スイス住民が国外にいる家族をスイスに呼び寄せたいとき、スイス国籍者には欧州連合(EU)国籍者より厳しいルールが課されるという「逆差別」現象が生じている。主に対象となるのは、外国人を配偶者とするスイス国籍者だ。
例えばスイスに住み中国人と結婚したドイツ人は、自ら保証人になれば上海に住んでいる義母をスイスに呼び寄せることができる。住居など滞在支援も受けられる。
一方、スイス人であれば義母を呼び寄せることができない。義母がEU・EFTA(欧州自由貿易連合)ではない第三国に住んでいるためだ。成人した子どもも呼び寄せ不可だ。
下院は差別を是正する法案を可決済みだが、上院が否決した。今議会で下院が再び審議・採決する。
上院が案じるのは移民流入の増加だ。上院審議に影響を受けて下院の担当委員会にも懸念が広がっており、廃案に至る可能性も出ている。
S資格:ウクライナ難民に発効される特別在留資格「S許可証」が存続の危機に瀕している。スイスの東国境に接するザンクト・ガレン州が、同資格を完全に廃止する州発議外部リンクを連邦議会に提出したためだ。
【以下サイトで】
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B...
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