「日本語選択の生徒が増えて、教室がパンク状態です」。韓国・釜山市の高校で最近、第2外国語として日本語が多く選ばれているという話を聞いた。
「語順が韓国語と似ているために勉強しやすい」というのは以前から言われてきたが、調べてみると、韓国を取り巻く政治環境も教育現場へ影響を及ぼしているようだ。
9月下旬、同市にある私立高の日本語の教室で生徒たちは「どうぞ」の使い方を学んでいた。
「こちらへどうぞ」「お土産をどうぞ」と、さまざまな意味や場面で使われることを学び、繰り返し読み上げていた。
同校では、2年生のカリキュラムに第2外国語がある。どの外国語を選ぶかを確認する昨年の調査で、当時1年生の約8割が日本語を希望。
教師や時間数に限りがあって人数を減らしたものの、最終的に全7クラス中5クラスで日本語の授業を行っている。
友好紙の釜山日報社(釜山市)の協力で、国会が集計したデータを得られた。
今年、第2外国語を履修する全国約51万人の高校生のうち、日本語は全体の61・4%。急激に進む少子化と、第2外国語を授業からそもそも外す高校が増えており、
全体の数は大きく減っているが、日本語の選択割合は2020年比で11・5ポイント増えた。地域別では大邱などで7割を超えた。
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なぜ、高校の第2外国語で日本語が優勢なのか。
釜山の日本語教師らによると、第2外国語は2択のところがほとんどで、もう一つがお隣の中国語だ。
まず、漢字だけの中国語は特に難しいという認識が、日本語に流れる理由の一つにあるようだ。
日本語授業で最初に習うひらがなは「かわいい」などと好意的に受け止められ、習う漢字は簡単で必要最低限なものにとどまる。
一方で、ある日本語教師は「日本人気というより、韓国内で中国人気が落ちていることが大きい」と分析している。
韓国紙・中央日報によると、シンクタンク「中央ヨーロッパ・アジア研究センター(CEIAS)」などの今年の調査で、
中国を「否定的」または「非常に否定的」と考える韓国人が81%に達し、調査した56カ国の中で最も高かった。
中国から飛来する微小粒子状物質「PM2・5」などの環境問題への懸念や、新型コロナウイルス感染症への対応が不十分だった中国政府への不信感が払拭されず、積み上がっているとみられる。
そのような政治的な問題には、韓国の若者も敏感だ。
日韓関係の悪化で、19年に起きたノー・ジャパン(日本製品不買)運動では、高校の日本語選択者が激減したという。
さらに、卒業後の進路を見据えて日本語を選ぶ生徒もいる。海外での就職や留学を目指す場合、ビザの取りやすさが最優先される。
釜山観光高校の担当者は「現状では日本の方が取得しやすい」と説明する。
一方で漫画やアニメ、ドラマ、映画などの日本文化が与える影響もある。
日本語教師でつくる釜山日本語中等教育研究会の幹部は「韓日関係が冷え込む時期であっても、いつも熱心な生徒が一定数はいる」と指摘する。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5bfe48093c3712e105ff1...
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