米Bloomberg
●バイデン政権、イスラエルとの対話が一段と困難に-関係者
●ネタニヤフ首相を公に受け入れる米国の戦略のリスク浮き彫り
ホワイトハウスはイスラム組織ハマスに対するイスラエルの戦争遂行にますます不満を募らせている。民間人の死者が増える中、米政権からの要請が聞き入れられていないためで、緊密な同盟関係に溝が広がりつつある。
事情に詳しい複数の関係者によれば、米国は紛争を方向付けようとしているもののイスラエル側に無視されるだけであることから、バイデン政権高官はイスラエル側と一段と難しい対話に臨んでいる。関係者は部外秘情報だとして匿名を条件に話した。
関係者によると、政権はいら立ちを募らせながら、イスラエルへの非公式メッセージのやり取りを増やすと同時に、イスラエルからの武器供与の要請には応じている。
緊張をはらむこうした対話は、バイデン政権の戦略のリスクを浮き彫りにする。戦略の土台にあるのは、イスラエルのネタニヤフ首相を公の場で受け入れながら、舞台裏では厳しいメッセージを伝えイスラエルの戦争遂行を方向付ける余地を広げるという考えだ。
しかし、米国と欧州連合(EU)がテロ組織に指定するハマスに対しイスラエルは作戦を強化し、ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザの民間人死者数は地元保健当局のデータで1万1000人余りに上り、政権は難しいバランスに直面している。また、バイデン政権の容認がネタニヤフ首相にゴーサインを与えたと主張するアラブ諸国の同盟国からの圧力も強まっている。
複数の関係者によると、ネタニヤフ首相はこれまで、ガザで人質となっている米国人や同地区から退避できないパレスチナ系米国人数百人に関する米国側の懸念を一蹴している。
ワシントンに拠点を置くシンクタンク、中東研究所のブライアン・カトゥリス副所長は「行動計画が基本的に、『ハマスの戦闘員が3万人いたので彼らを皆殺しにする。気の毒だが流血と破壊の事態となるだろう』というものなら心配だ。それはガザ内部で人道危機を生み、まだ退避していない米国市民への脅威をもたらし、おそらく地域全体の緊張をエスカレートさせるだろう」と述べた。
緊張の高まりの中心にあるのが、ガザにある主要医療機関、シファ病院へのイスラエルの作戦だ。米国とイスラエルの当局者はこの病院がハマスの主要司令部の隠れみのになっているとの見方で一致しており、バイデン政権はハマス根絶が必要とのイスラエルの立場に同意しているものの、内部に閉じ込められた民間人を保護するためのイスラエルの行動が不十分だと懸念。大統領は13日、シファ病院は「保護されねばならない」と述べた。
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