後にランディは、次のように述べている。
「プロジェクト・アルファが成功を続けたのは、研究員たちが、
マイケルとスティーブを本当の超能力者だと信じていたからである。
仮に二人が手品師として同様のトリックを使っていたら、
これほどうまくやってみせることはできなかっただろう」
マクドネル超心理学研究所の研究員らは、「サイコキネート」なる新語まで
創り上げるほどに、二人の少年の「超能力」を信じて疑わなかった。
実験は、実験者と被験者が互いにリラックスした雰囲気の中で行われ、
単純なトリックが「超能力」と認められて報告されるにつれて、
さらに被験者が操作しやすい環境に変わっていった。
スティーブとマイケルは、電気関係の装置が、
「超常的に悪いものを発散している」と主張した。
これは、実験に一連の神秘的な雰囲気を盛り上げると同時に、
ビデオ監視の可能性を最小限にするためでもあった。
彼らは、二人とも、子どもの頃にある種の電気的なショックを経験して以来、
自分たちの超能力に気付くようになったと話すことによって、電気装置を
嫌がる理由まで注意深く解説した。
研究員たちは、これらの主張を好意的に受け入れ、さらに「信念の泥沼」
に深く入り込んでいったのである。
二人の「超能力」が『ナショナル・エンクワイアラー』紙で報道されると、
少年たちは全米から「何トンもの手紙」を受け取った。
マイケルは、次のように述べている。
「人々は、ラッキー・ナンバーから行方不明の子どもについてまで尋ねてきた。
根本的に、どのように生きていけばいいのかまでも、僕らに尋ねてきた。
超能力の威力というのは、本当に狂気じみている。
人々の人生まで、簡単に手中に握ってしまえるんだからね」
一九八三年、ランディはプロジェクト・アルファの全容を公表した。
二人の少年は、すべてがトリックだったと公表された後にも、
「自分では気付かずに、本当は超能力を使っていたのではないか」
と聞かれたという。
彼らは、超心理学者ばかりではなく、一般大衆が、どれほど超常現象を
信じたがっているのかを知って、驚愕したと証言している。
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