西暦79年のベスビオ火山噴火で焼け焦げ、広げようとすると崩れてしまう状態になった古代の巻物数百巻のうちの1巻に
ついて、現在科学者らが内容の解読に挑んでいる。
英オックスフォード大学のボドリアン図書館に保管されているこの巻物は「ヘルクラネウムの巻物」と呼ばれる文書の一部。
解読を促進するコンペ「ベスビオ火山チャレンジ」の一環として仮想的に広げられる5巻目の巻物となる。ユリウス・カエ
サルの義父の自宅から回収されたと考えられているこの文書は、古代のローマとギリシャに関する新たな情報の宝庫とされ
る。
人工知能(AI)その他のコンピューター技術を駆使し、「ベスビオ火山チャレンジ」のチームはこのほど、巻物に書かれ
た文面の画像を生成することに初めて成功した。ボドリアン図書館が5日に発表した。実際の文字列の解読を既に開始して
おり、約2000年間誰にも読まれることがなかった巻物の中身が明らかになりつつある。
最初に解読された数語のうちの一つは、現代語で「むかつき」を意味する古代ギリシャ語だった。ボドリアン図書館による
と、この単語は2~3行の中で2度登場する。
米ケンタッキー大学のコンピューター科学教授で、「ベスビオ火山チャレンジ」の共同設立者でもあるブレント・シールズ
氏はオックスフォード大で保管される巻物について、これまでX線でスキャンした中で最も判読しやすい文面を含むと指摘。
画像が鮮明に表示される要因として、鉛などインクの化学組成を挙げた。
それでもシールズ氏は声明で、「わくわくするような結果だが、まだ多くの作業が残っている。ソフトウェアの手法を改善
し、当該の巻物の全文及び他のヘルクラネウムの巻物についても判読できるようにしなくてはならない」と述べた。
シールズ氏が昨年CNNの取材に答えたところによれば、巻物を仮想的に平らにした上で、黒いインクの文字と炭化した紙
の表面とを区別することが重要な課題になるという。それによりギリシャ語とラテン語の文面が判読可能になる。
機械学習の技術は文章の解読ではなく、インクの判読性の向上に寄与すると、シールズ氏は述べた。ボドリアン図書館によ
れば、文章の転写と翻訳はオックスフォード大の学者を含む人の手によって行う。
研究者らは現在、文字列がより鮮明に写るよう画像の一段の改良に取り組んでいる。炭化した巻物の一番奥の部分を画像化
できれば、そこに文書のタイトルが記されているかもしれないと期待を寄せている。
https://news.yahoo.co.jp/articles/d77aa8deca1241f722d0e...
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