おじさんの言う「ライン」とは一体……
こうして意を決し、おじさんを後ろから呼び止めた。すると衝撃の言葉が返ってきたのだった。やり取りを次のように回想する。
「あのー、すみません、さっき私にぶつかりましたよね?」
おじさん 「お前が! ライン!」
「なんでぶつかったんですか? 謝ってほしいんですけど」
おじさん 「お前がラインの外に出るからいけないんだろ!」
「ライン」とは一体なんなのか。あべしさんも困惑したようだ。
「床に特にラインらしきものはありませんでした。おじさんの言うラインが何を指すのか全くわからないですが、きっと彼には何かが見えていたのでしょう……」
カフェラテを持っていたときにも“ぶつかりおじさん”が……
ところで“ぶつかりおじさん”の被害に遭う女性は背が低いことが多いようだが、あべしさんは「身長は168センチで背は高い」と明かす。ニットワンピースを着ていたというから、フェミニンな服装が災いしたのだろうか。
過去には、カフェラテを持っていたときに“ぶつかりおじさん”被害に遭ったことがある。背が高くても反撃できない状態の女性を選んでいる節がありそうだ。ぶつかられ、カフェオレはこぼれたが、このときも
「なんでぶつかったのか、謝ってほしいと言って謝ってもらいました」
と、毅然と対応した。意図的なぶつかりは暴行罪に当たる可能性もある。だが被害者のほとんどが泣き寝入りしているのが実情だ。
「ぶつかりという加害行為が野放しにされず、名前がつき、適切な対応の啓蒙がされ社会全体で抑止力を強めていければと思っています」
あべしさんは、渋谷駅でぶつかられた後、X(当時はツイッター)に被害を投稿。同じような被害に遭ったという人から複数の声が寄せられた。大海の水も一滴からと言われるように、一人一人が声を上げ、行動することが“ぶつかりおじさん”の根絶に繋がるかもしれない。
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