ヤバすぎる「闇バイト」
配達だけでは満足に稼げない
「ウーバーイーツでーす」
都内のマンションのエントランスで、インターフォンに向かってそう名乗ると、相手からの返答はないままオートロック
のガラス扉が開いた。配達先の部屋は4階だが、エレベーターを待つ時間を節約するため、階段を駆け上がる。
配達先の玄関前に辿り着くと、注文の品を廊下に置き、配達員用アプリの画面で「配達済みボタン」を押して任務完了—こ
れは、ウーバーイーツなど複数のフードデリバリー(以下、フーデリ)サービスに登録して生活費を稼ぐ30代のフルタイム
配達員・K氏が日夜繰り返す配達業務の一例だ。
しかしその直後、K氏には「別の業務」が待っている。その場でスマホを操作し、たったいま完了した配達の注文内容や
届け先住所が書かれた配達員用アプリの画面を「スクショ」。置き配時に撮影した写真とともに、LINEである人物に送信
するのだ。K氏が言う。
「こうするとその人物から、一件あたり500円がPayPayで送られてくるんです。昨年11月から800件は送ったので、40
万円くらいにはなっているはず。同じ配達先の情報でも別の日の配達であれば、買い取ってくれます。知り合いの配達員
にも勧めたので、私の周りだけで4人の配達員が同じことをやっている」
情報の送信相手の目的については「『市場調査』ということ以外は何も知らない」と語るK氏だが、「フーデリ業界では
配達報酬の実質的な減額が進んでいるので、正直、ありがたいです」と感謝を口にする。
「たとえばウーバーイーツだと、3km弱の距離を配達して報酬がたった320円ということもある。'24年春くらいまでで
あれば、600〜700円はもらえていた距離です。いまや、配達ついでにできる副業をやらないと、満足には稼げないんで
すよ」
街中の公園に呼び出されて
事実、フリーランス協会が公表している'24年の「フードデリバリー配達員実態調査(速報値)」によれば、週40時間以
上稼動するフルタイム配達員は、前年の21・2%から26・1%に増加している一方、1週間の平均報酬額を「10万円以上」
と答えた配達員は同8・1%から5・5%に減少している。つまり、専業配達員では食えなくなってきているのだ。
そのため配達員たちは、「チップ払うからコンビニでアイス買ってきて」、「玄関に置いてあるゴミ出しておいて」など
と、通常の配達業務以外をアプリ上のダイレクトメールで注文者から依頼されることもある。
本来の業務外の依頼を引き受けて報酬を得ることはウーバーをはじめ多くのフーデリサービスで禁止されているが、配達
報酬減に苦しむ配達員のなかには、禁を破る者も少なくないという。
そして、K氏がLINEで配達先の情報を送信している人物とも、そんな「業務外依頼」に応じた際に知り合ったという。
「ファストフード店で商品をピックする注文を受けた直後に、『チップを1000円渡すのでコンビニでタバコ買ってき
てください』と注文者から連絡がありました。タバコの配達は規約で特に厳しく禁止されているので迷いま……続く
https://news.yahoo.co.jp/articles/15407a39c4c2802d55bf1...
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