「串を抜くたびに値段が上がる」と警告する焼き鳥屋が東京・新橋にある。冗談かと思ったら、本気らしい。そこまでするのには、理由があった。
「抜くなら焼き肉屋へ」
「串から抜かずに食べてください」
身のプリッとしたレバーが運ばれてくると、店員から念を押された。壁には、「串をぬくなら焼肉屋へ行け!」と書かれたポスターが張ってあった。
その下には「抜くたび値段が上がります」という小さな注意書きまである。
焼き鳥店「出世酒場 大統領」は、客への注文が多い「うるさい店」として知られる。それでも、店を訪れた金曜の午後4時ごろにはほぼ満席。
レバーをほおばると、口いっぱいにじんわりとうまみが広がった。
翌週、平日の朝に仕込み中の大将・沢崎誠さん(52)を訪ねた。なぜ、串から肉を外させないことにこだわるのか。沢崎さんは、笑いながら言った。
「一口目で心をつかむのが、うちの焼き鳥だからね。どの焼き鳥屋も刺し方が違って、二口目に大きい肉を刺す店もある。
うちは、一口目でおいしいって思ってもらいたいから、最初が大きいの。体育会系の俺と同じ、逆三角形体形の焼き鳥だよ」
「抜くたび値段が上がります」というルールは、「もちろん本気」と言う。
「これだけ手間をかけて仕込みをしているのに、勝手に串から肉を抜く客がいるから怒っているんだよね。
串から抜かない客、次も来てほしい客には、いい肉を出すよ。いい客には、いい肉を食べさせたいから」
沢崎さんは、和食の板前を経て、15年前に店をオープンした。「串外し禁止」のルールは、開業当初から。
それから、「飲めない人はお断り」「おひとり様お断り」「食べ残し1本1000円」と徐々にルールが増えていった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c87d3ae22579c5690817f...
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