今から500万年ほど前、木の上で果実などを主に食べていた猿が、氷河期で食糧不足になったために、
一部が木から降りてサバンナに進出し、肉食獣の食べ残しや骨髄の中身を漁るようになって、
次第に肉食に変化して行った。
脳組織の50~60%は脂質で構成されているが、このうち約3分の1はアラキドン酸や
ドコサヘキサエン酸のような多価不飽和脂肪酸だ。
アラキドン酸は必須脂肪酸で人間は体内で合成できない。
ドコサヘキサン酸は同じω3系不飽和脂肪酸のα-リノレン酸から体内で変換されるが
その効率は極めて悪いので、最近ではドコサヘキサエン酸も必須脂肪酸に分類されている。
つまり、脳の成長に必要なアラキドン酸とドコサヘキサエン酸は食事から摂取しなければならないが、
この2つの脂肪酸は植物性食物には少ししか含まれていない。
アラキドン酸は肉、ドコサヘキサエン酸は魚の脂に多く含まれている。
人類の特徴は他の動物と比べて知能が高いことだが、知能の発達には脳が大きくなることが必須だ。
チンパンジーの脳容積は400cc程度で、現代人の成人男性の脳容積の平均は約1.350cc。
チンパンジーと同程度の脳容積しかなかった初期人類から、高度の知能をもった現生人類に進化する過程で
脳容積は3倍以上に増えた。
チンパンジーの脳容積は未だ500万年前と同じで、人類の脳容積だけが3倍にも増えた理由は、
人類が動物性食糧を多く摂取するようになったからに他ならない。
1万年ほど前に農業が発明されて、現代の人類は穀物など植物性の食品も多く摂るようになってきてはいるが、
肉食だった400~500万年に比べて、僅か1万年(殊に日本では稲作が伝わってから2~3千年程度)では、
穀物主体の食事に適応するための進化に要する時間が十分に経過しておらず、ヒトは、消化管の構造的には
未だ肉食動物のままである。
そのため、動物性食品を摂取しないと、健康を保てず、老化が促進されて寿命も短くなる。
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