参考判例:セキスイハイム事件(大阪地方裁判所判決平成7年1月7日)
この事件は、ハウスメーカーのセキスイハイムの新聞広告が問題となった事件です。
セキスイハイムは広告制作会社から広告用写真のフィルムを借り受けて新聞広告に使用しましたが、
この広告制作会社は写真を撮影した写真家から写真の使用の許諾を受けていませんでした。
そのため、写真家がセキスイハイムに対し、著作権侵害について1000万円の損害賠償を求めました。
裁判所の判断
この事件で裁判所、セキスイハイムの新聞広告は写真家の著作権を侵害しているが、
セキスイハイムは著作権侵害について過失がなかったとして、
セキスイハイムに損害賠償の義務はないと判断しました。
判断の理由
裁判所は、判断の理由として、「セキスイハイムは広告を制作することを事業とする会社ではなく、
このような会社が広告制作会社から写真を借り受けたときは、
逐一、広告制作会社に対して、写真の使用のために別途第三者に
許諾が必要か否かを調査確認するまでの注意義務はない」と述べています。
一方、刑事上の責任(罰則)については、故意で他人の著作権を侵害した場合を対象にするものです。
そのため、知らないうちに他人の著作権を侵害したとしても、故意がないため、罰則の対象とはなりません。
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