相手を引きずり下ろしたり、自分よりも上だと思っている人が失敗したときに感じる喜びが
「シャーデンフロイデ」(ドイツ語の「Schaden(損害)」+「Freude(喜び)」)です。
普通は、 「誰かを引きずり下ろしたい」という考えを持っている、などと自分で認めることは困難です。
できれば、その人をかわいそうだとか何とか思っていることにしたい。
でも、どんなに自分の「妬み」や「引きずり下ろしたい」という感情を否定しても、
脳機能画像には映ってしまいます。
脳をイメージングすると、妬みの対象が引きずり下ろされたときには、喜びが生じています。
その喜びが「シャーデンフロイデ」です。
「他人の不幸は蜜の味」といわれるゆえんですね
なぜ喜んでしまうのかというと、これはとても単純で、その必要があったから、だと考えられます。
「喜び」というのは、ある行動を促進するために脳に仕組まれたシステムです。
例えば、食べることや魅力的な異性との交流には喜びが生じます。
これは、生物あるいは生物種として生き延びるために、その行動を促進させる必要があったからです。
喜びがなければ、すべての行動は「面倒くさい」、わざわざコストをかけて食べなくてもいいや、
異性と交流しなくてもいいや、となります。
そこを、喜びという快楽を脳にエサとしてあたえて、なるべくその行動を取らせようとするのです。
すると、例えば食に喜びを感じない個体は生き延びにくく、性行為に喜びを感じない個体は、
子孫も残しにくくなります。
つまり、これらの行動に喜びを感じない個体の遺伝子は残りにくく、それに喜びを感じる個体の
遺伝子ばかりが生き残るようになり、喜びを感じる傾向はますます強まっていきます。
同様に、種としてあるいは個体としての生存のための必要性が、シャーデンフロイデにもあったと
考えられるのです。
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