南京事件に対して懐疑的、否定的な見解の海外の国や知識人
1. 海外の研究者・知識人(懐疑的・否定的立場)
① J・マーク・ラムザイヤー(J. Mark Ramseyer/米国)
所属:ハーバード大学法学教授
立場:南京事件を「大規模な計画的虐殺」とみなす見解に強い疑問を呈する。数十万規模の虐殺説は、一次史料による裏付けが弱いと主張
特徴:法学・契約史の専門家、日本軍の行為を全面的に正当化しているわけではないが、「学術的検証が不十分な物語」が独り歩きしていると批判
評価:欧米アカデミアでは強い批判も受けるが、「学問の自由」の文脈で擁護する声も存在
② デイヴィッド・アスクー(David Askew/ニュージーランド)
所属:立命館アジア太平洋大学 元准教授
立場:南京事件研究の文献を精査し、死者数、写真資料、証言の成立過程に多くの問題があると指摘
代表論点:写真の誤用・別事件の転用、証言の後年形成(戦後政治の影響)
特徴:「南京事件は存在しなかった」と断定はしない。「歴史学として成立していない部分が多い」という批判的立場
③ Ikuhiko Hata(秦郁彦)と海外評価
※日本人研究者だが、海外で引用されるため補足
立場:「大虐殺(数十万)」説を否定、数万人以下の戦闘・混乱死という推定
海外での位置付け:中国の公式見解には否定的、欧米の一部研究者からは「比較的冷静な数量分析」と評価される
2. 国・政府レベルでの態度(歴史観)
① アメリカ合衆国(政府公式)
公式立場:「南京で残虐行為があった」とするが、死者数・性格についての公式数値は採用していない
特徴:中国の「30万人虐殺」説をそのまま支持しているわけではない。学術論争には距離を置く
② ヨーロッパ諸国(独・英・仏など)
共通点:
南京事件を「悲劇的事件」として扱う
ただし、犠牲者数、計画性、ジェノサイド性については明確な統一見解なし
重要点:「ホロコースト級」と公式に同列視している国は存在しない
③ ロシア
現代ロシア:中国の主張を形式的には尊重、しかし国内学界では詳細研究は乏しく、積極的関与は薄い
3. 海外でよく指摘される「疑問点」
海外の懐疑的研究者が共通して挙げる論点は以下です。
死者数の不一致、4万~30万以上まで大きな幅、中国側公式数値が時代によって変動、同時代一次史料の不足、日本軍・第三国記録・現地人口統計との整合性問題、写真・映像資料の信憑性、他地域・他時期の写真の流用疑惑、キャプション改変の指摘
東京裁判での扱い
南京事件は裁判上の主要争点ではあったが、数値や実態の厳密確定には至っていない
4. まとめ(国際的な位置付け)
「大規模・計画的大虐殺(30万人)」に疑問を持つ立場、欧米の一部研究者に存在、学術的にはこちらの方が現実的
国際社会全体
「悲劇的事件はあった」、しかし規模・性質・責任の確定については未整理
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