東京都内に住む在日韓国人3世の金正則さん(70)がX(旧ツイッター)上で差別的投稿を繰り返されたとして、高校の同窓生に損害賠償を求めた「在日の金くん」訴訟。
9月に入り、被告側から投稿は「差別に当たらない」と主張する書面が提出された。
焦点となるのは、特定の国籍や人種を犯罪と結び付ける「犯罪者みなし」のとらえ方だ。
◆7割は「犯罪者みなし」 恐怖心あおる怖い差別
「彼の投稿の7割くらいが『犯罪者みなし』なんです。人の恐怖心をあおる怖い差別だなって思う。
『うそつき』や『ぺてん』などの侮辱だって、自分にくっついてきたら嫌なのに…」
金さんが10月23日の弁論準備手続き後に川崎市内で開いた会見。「また在日の犯罪だ。金くんコメントをよろしく。関係がないとは言わせない」
「在日の金くん。またまたお仲間が犯罪です。何とかしてよ。エリート在日コリアンさん」などと記した被告の投稿への受け止めを語った。
2021年3月~今年1月、Xで「在日の金くん」と呼びかけながら「朝鮮人ってやっぱりばかだね。救いようがない」などと15件の投稿をした福岡県の高校で同学年だった男性を相手取った訴訟。
金さんは投稿で人格権を侵害されたとして、慰謝料など110万円の支払いを求め、3月に東京地裁に提訴した。(途中略)
金さん側は「朝鮮人は犯罪が多いという決めつけのもと、在日朝鮮人は道徳的に劣っており、犯罪率が高いとの偏見を助長・誘発させ、中傷している」と反論する書面を提出した。
◆日本には外国人を『犯罪者』のように扱う差別が根付いている
会見には、外国人差別の問題に詳しいノンフィクションライターの安田浩一氏が同席した。
2009年に朝鮮学校の前で「スパイの子ども」と大音量で連呼し、授業を妨げるなどした京都朝鮮学校襲撃事件を紹介し、「在日コリアンはずっと偏見と闘っている」と説明。
埼玉県南部でクルド人差別をあおる言動が頻発している問題にも触れ、「日本には外国人を『犯罪者』や『犯罪者予備軍』のように扱う差別が根付いている。
私たちは直視しなければならない」と強調。「差別は人、地域、社会を傷つける。偏見と差別の先には、必ず殺りくがある」と警鐘を鳴らした。
金さんの代理人の神原元(はじめ)弁護士も会見で「犯罪者みなし」について、「在日の1人が罪を犯したからといって、全員が犯罪者と決めつけられるわけはないのに日本社会には残っている」と指摘した。
2016年施行のヘイトスピーチ解消法の3類型(危害の告知、侮蔑、排除)には「明確には当てはまらない」とした上で、
「新たな挑戦だ。裁判所に差別だと認めてもらわなければ、ヘイトスピーチはなくならない」と語った。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/36449...
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