NHKの受信契約総数が過去4年間で100万件以上減っていることが、6月25日に発表された2023年度決算で明らかになった。
受信料で運営される公共放送にとって、契約総数の減少は死活問題。
人海戦術に頼っていた契約獲得手法の見直しで、十分な営業活動ができなかったことが主な原因とされるが、
インターネット社会の進展で「テレビ離れ」も進む中、減少トレンドを抑えることはできるのだろうか。
■人海戦術で契約獲得の歴史
契約総数の減少傾向などの要因について、NHKの担当者は25日のブリーフィングで「一番大きいのは営業スタイルの大幅な転換」と明かした。
受信契約に関しては、契約者が死亡したり、実家に帰ったりすることによる解約が毎年発生。
これを上回る新規契約がないと契約総数は減少する。それを確保するためにNHKでは長らく、
営業スタッフの訪問活動による人海戦術で契約を獲得してきた。
ところが、これに要する経費が高すぎるとの批判が根強く、ついに昨年度、営業の中軸だった外部の専門会社による契約収納活動を終了した。
現在では、放送やインターネットでの呼びかけのほか、住所の記載があれば相手先の名前が分からなくても配達できる「特別あて所配達郵便」を活用。
正当な理由がない未契約者に対する割増金制度も導入されている。
■営業スタイル変更で負のトレンド加速
当初はこうした新手法が功を奏し、新規契約に結びついたが、テレビを持ちながらいまだに契約を結んでいない人の多くは、NHKの番組や受信料制度に疑問を持つ人も多い。
こうした相手には、担当者が直接面会して公共放送の意義などを説明し、先方の意見にもじっくりと耳を傾ける地道な努力も必要で、未収者に対しても同様の丁寧な対応が欠かせないとの声が営業現場には根強い。
つまり、経費節減のために急激に営業スタイルを変更したことで、かえって負のトレンドを加速させたようだ。
契約総数の減少にテレビ離れが影響しているかどうか判別する指標はなく、ブリーフィングで担当者も「どう影響しているのか現時点では答えるのが難しい」とした。
ただ、ネット時代の今、わざわざ受信契約を義務付けられるテレビを持つ必要はないと考える人が若い世代を中心に増えているのは事実だ。
たとえテレビを持っていながら未契約だったり、既に契約しているが不払いだったりする人も、今後はテレビのない生活を選ぶ可能性は十分ある。(途中略)
その意味では、新規契約獲得と契約者の不払い解消こそが今後の公共放送運営の大きなカギとなるが、従来のような外部の専門会社による契約収納活動が復活することはないという。
未契約・不払い対策として、割増金請求や民事督促手続きもあるが、「それらはあくまで最後の最後の手段」というのがNHKの基本姿勢だ。
それ故、小規模ながらも、営業スタッフによる対面での地道な説得活動は一つの活路となりそうだ。
そこで肝心なのは、NHKに背を向ける人たちに何を語れば、振り向いてもらえるかだ。(以下略)
全文
https://www.yomiuri.co.jp/culture/tv/20240627-OYT1T50088...
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