Google Pixelの新機種が登場し、AIを用いた編集機能がテレビCMでアピールされるなど、注目を集めている。
このような機能は他メーカーの機種でも利用できるが、実はメーカーによっては「編集できない」被写体がある。
●まずはPixelの「編集マジック」をおさらいしておこう
Pixelなどで利用できる「編集マジック」は、従来の「消しゴムマジック」から一歩進んだ処理だ。被写体を切り抜いて自由に移動、サイズ変更も行える。(一部略)
●中国で販売されるスマートフォンには「編集できない場面」が存在する
今回は被写体のうち、背景に写りこんだ人物群を消去してみることにする。
いくつかの機種で試したが、筆者の手元にあった中国メーカーのスマートフォンのうち、
Huaweiのスマートフォンでは天安門広場で撮影した写真に対し、生成AI処理による編集ができなかった。
vivo、OPPO、Xiaomiの機種でも被写体によっては「編集できない」といった内容が表示された。
●天安門で画像編集ができない理由は「中国向けのローカライズ」
調べていくと興味深いことが判明した。実は、中国で生成AIを用いたサービスを一般消費者に提供するには、中国政府の許可が必要なのだ。
これは2023年に中国では「生成AIサービス管理暫定弁法」というものが制定され、一般公衆に提供する生成AIサービスは言語モデルをはじめとしたAIの学習内容はもちろん、
特定の内容が生成できない「調整」といったものが政府から審査されるのだ。
その中には「共産主義の転覆や反政府的な活動をあおる内容」も含まれ、あらかじめ出力できないようになっているという。
これらの審査をパスしなければ、中国では生成AIを利用したサービスそのものを提供できないのだ。
これは中国のインターネット上でも同様で、「共産党体制の転覆」を暗喩するような内容の投稿はできないといった厳しい監視がされている。
例えば、「天安門事件」に関するものをSNSで発信できない件は有名な話だ。
●「くまのプーさん」も「89」や「64」といった数字もアウト
また「国家元首を侮辱する」といった表現を防ぐという観点からか、習近平国家主席や毛沢東氏の写真や肖像画も生成AIを用いた機能で編集することができない。
加えて、習氏を示すネットスラングとして中国では検閲対象となる「くまのプーさん」も生成AIを用いた編集はできない。
機種によっては「89」や「64」といった数字を表示したスマホの画像を編集しようとしても弾かれた。
「89」「64」は天安門事件の起こった日の「1989年6月4日」からとったスラングであり、中国では検閲対象になっている。
中国では広く普及しているAlipayなどの決済アプリでも、この数字の並びの金額は送金できないといった強固な態勢が敷かれている。(以下略)
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2406/25/news16... (左)Huaweiのスマホでは「ネットワークエラー」と表示され、編集できなかった。
(右)「89+64」と電卓で表示した画像だが、Huaweiのスマホでは編集できなかった。
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