今、Youtubeなど動画配信サービスで、「厨房動画」が大人気となっている。懐石料理やフレンチなどの高級店に密着した動画もあるが、YouTubeで「厨房」と入力して検索すると、表示されるのは圧倒的に中華が多い。それも私たちになじみ深い「町中華」の厨房を紹介する動画が次々と表示される。YouTubeでは数百万回の再生回数を記録した動画もあり、厨房動画を専門に配信するYouTuberも注目を集めている。
なぜ今、「町中華」の厨房動画が増えているのか。料理業界に詳しいライターはこう話す。
「厨房動画の特徴に、再生時間が長いという点が挙げられます。今はTikTokやYouTubeのショート動画が主流で、レシピ動画なら数分というものが多い。ところが厨房動画は、1時間を超える“大作”も当たり前のように配信されています。店内に複数のカメラを設置し、注文から調理、配膳までを丁寧に撮影。昼時ともなれば、ひっきりなしに注文が入り、調理人がプロの技でチャーハン、ラーメン、ギョーザ、ホイコーローや酢豚などのを瞬時に作っていきます。ナレーションもBGMもありませんが、調理人の手際の良さにみとれて、長時間の動画でも見入ってしまう。店主にインタビューするなど、ドキュメンタリーの要素を持つ作品もあります」
■調理や配膳の邪魔にならないか
では、撮影される“中の人”は今のブームをどう考えているのか。
厨房動画が複数のチャンネルで配信されている「タンタンメン金家 片倉本店」(横浜市片倉)のマネージャー・龍崎彰吾氏はこう語る。
「最初は、数年前に常連のお客さんから『厨房の様子を撮影させてくれないか』と相談されたことがきっかけでした。中華の厨房は火力も強く、危険な場所も少なくありません。気心の知れたお客さんだったので、十分に注意してもらった上で撮影をOKしました。それがYouTubeで配信されると、芸能人の方に紹介されるなど、ちょっとした話題になったんです。その後、厨房動画を専門にするYouTuberの方々からも取材の依頼が来るようになりました」
やはり安全は最優先。カメラをどこに設置するか、どうすれば調理と配膳の邪魔にならないかなどは何度も打ち合わせを重ねるという。条件が折り合わず、撮影を諦めてもらったこともあったというが、そのぶん、完成した動画はクオリティーが高いものが多い。
「おかげさまで反響も大きいです。中華は調理の動作が大きいですから絵になると思いますし、豪快な火力や、中華鍋とお玉が生む音も心地いいのではないでしょうか。テレビだと一瞬しか映せませんが、YouTubeなら時間の制限もありません。常連さんは『動画見たよ』『この間撮影してたやつ、まだアップされないの?』などと声をかけてくれるし、動画を見て来店したという新規のお客さんもいらっしゃいます。私たちの公式サイトで動画を紹介させてもらい、相乗効果も実感しています。動画の影響力は大きいので、飲食店の経営者でYouTubeを意識している人はかなり多いのではないでしょうか」(同)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2317944486318fc2ca4b1...
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