前代未聞のちゃぶ台返しだった。
サッカー日本代表がW杯アジア2次予選で北朝鮮代表と対戦するアウェー戦(26日)の平壌開催が、北朝鮮側の意向で試合5日前になって突如キャンセル。
「日本で拡大している悪性伝染病に対する疫病予防」が理由とされるが、急転直下の開催放棄に無責任のそしりは免れないだろう。
日本協会の田嶋幸三前会長によると、北朝鮮はアジア・サッカー連盟(AFC)を通じて、21日早朝に「平壌での開催は難しい」と日本側に意向を伝達。
AFCが日本時間21日午後4時までに第三国の開催選定を求めたが、北朝鮮はゼロ回答だった。
21日の日本―北朝鮮(国立)の試合前、田嶋前会長は北朝鮮代表の団長から「平壌ではできなくなった」と改めて伝えられた。
ハーフタイムには「日本で開催できないか?」と提案され、制裁措置の例外として発給された22日までの滞在許可の延長を要望されたという。
両国間に国交はなく、ピッチ外の不確定要素は政府間の1カ月以上に及ぶ交渉で導き出した「特例措置」で乗り越え、開催にこぎ着けた経緯がある。
「デッドラインを過ぎている。どう考えても、2か月前には決めないといけないことがこうなってしまっている」(田嶋前会長)。
常軌を逸した“ドタバタ劇”だった。
日本にとって、北朝鮮は今も昔も「近くて遠い国」。言葉や文化、思想、社会制度も異なる別世界だ。
平壌での開催にこだわっていた姿勢を一変させた背景に、北朝鮮政府の強硬とも言える防疫方針があるのだろう。
とはいえ、今回は練習試合ではなく、W杯の出場権を懸けた重要な公式戦。
ホーム開催を返上するのであれば、第三国の選定までが必要条件だったはず。
2月末にも女子パリ五輪アジア最終予選、北朝鮮―日本が平壌で開催できず、第三国の選定に難航した末、
試合3日前にサウジアラビアのジッダに変更された。男女日本代表が2度も続けて振り回された事実は看過できない。
日朝戦は最終的に中止に追い込まれた。延期の可能性は低く、没収試合と判断される公算が大きい。
国際サッカー連盟の協議次第では、北朝鮮のホーム開催権剥奪など厳しい処分に踏み込む可能性も否定できない。
https://www.chunichi.co.jp/article/87306...
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