先日、3年ぶりに中国を訪れて驚いた。以前とはまったく異なる光景が広がっていたのだ。街に人がいない。景気が悪い。
社会に活気がない……そんな中国から見ると、現在の日本は「中国よりもはるかに活気がある」と感じるようで、多くの中国人が「中国と日本は何もかも逆転した」と口を揃える。
そう言われても、日本に住んでいる筆者はこのような実感がなかったが、実際に上海を訪れ、現地で話を聞いているうちに、その意味が分かった気がした。
中国経済はバブルが弾けてしまったのではないだろうか。そう、かつての日本のように……。
日本では、「好景気な中国」や「(経済)成長著しい中国」というイメージがすっかり定着している。
ところが先日、3年ぶりに中国・上海に行ってみると、まるでバブル崩壊当時の日本のような、寂しい光景が広がっていた。状況が一変していたのだ。
・空港はガラガラ、デパートに人はおらず、レストランは閑古鳥
まず、上海に着いた時からして、数年前とは様子が全く違っていた。上海浦東国際空港には静寂が広がっていた。
以前は出国するにも入国するにも長蛇の列で、入国審査を通過するのに長い時間を要していた。しかし、今は空いていてスイスイ進む。
数年前までのあの空港の喧騒はどこへ行ったのか、こんなに空いている空港を今まで一度も見たことがなかった。
一方、日本に戻ってくると、成田国際空港は出発ロビーも到着ロビーも、大勢の人々でにぎわっていた。
免税店では買い物客が長い列を作り、入国時の税関荷物検査も混雑していた。上海の空港とはまったく違う。
そして、上海の街の様子もすっかり変わっていた。閉まったままの店舗が多く、いわゆる日本の地方都市の「シャッター通り」商店街のような光景が広がっていた。
旧フランス租界界隈では、以前は深夜まで西洋人や中国人でにぎわっていたバーの光が消え、廃業した店が目立つ。
百貨店やショッピングモールの化粧品フロアやファッションフロアは、混んでいるはずの週末や平日夕方の時間帯でも、店員の人数のほうがお客より多い状況。
以前は1時間以上並ばないと入れなかった人気レストランも、ガラガラで閑古鳥が鳴いている。
上海の友人に聞くと、「安い火鍋や麺類、ファストフード店に人が流れているんだ」と説明してくれた。
上海に着いて、公私問わず、久しぶりにいろいろな友人知人に会ったが、皆一様に「景気が悪い」と嘆く。
「たくさんのお店が閉まった」「外国人が少なくなった」「活気がなくなった」「不動産が売れなくなった」「若者が仕事を見つけられなくなった」
「失業者が増えた」「皆、お金を使わなくなった」……等々。誰の口からも、こんな言葉ばかりが出てくるのだ。 (後略)
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