中国国家統計局は17日、2023年の国内総生産(GDP)は物価変動の影響を除く実質成長率で前年比「5.2%増」と発表したが、各国からは疑惑の声が出ている。
もともと中国政府は2023年のGDP目標数値を「5%前後」と発表していたので、17日に5.2%という速報値が発表されると、中国経済はコロナ禍を脱し「目標達成」と報じられた。
だが、この発表について米国の調査会社や研究機関から、「実質の数字はもっと低い」との指摘が出ている。
米調査会社ロジウム・グループは中国国家統計局が昨秋に23年のGDP目標を5%前後と発表した段階で、「中国政府が5%と主張しても、実際の成長率は1.5%に留まる」と指摘。
その理由として、住宅建設などの不動産投資や企業の設備投資の減速が成長のマイナスになっていると分析している。
もとより、中国政府の発表する公的統計の数字には懐疑的な眼が向けられてきた。
昨年、急死した李克強前首相は、国の統計が信用できないので、「電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高」などのデータをもとに独自の経済指標を用いていたぐらいである。
昨年12月には、国家統計局が「思想・行動の両面において習思想を体現」するために、
「数字の公布と解釈を良くし、社会の予測と期待を正しく導く」ことを“工作方針”として掲げている。
さながら、嘘の数字で捏造すると宣言したようなものだ。
世界が知りたいのは、中国経済が減速しているにせよ、緩やかに回復しているにせよ、正確な状況である。
国際通貨基金(IMF)は23年10月の時点で、中国の24年のGDP成長率が4.6%に減速すると予測した。
また、ドイツ銀行も4.7%と、5%を下回ると予想した。いずれも理由は、主要産業の不動産で不振が続くと同時に、家計所得が伸び悩み、消費の回復が鈍いと見ているからだ。
中国が低成長に転じれば影響は世界に及ぶ。中国は2001年に世界貿易機関(WTO)へ加盟後、世界経済成長の原動力になった。
世界に占める貿易シェアは01年に4%だったものが21年までに4.6倍に拡大し、それがいまや転換期を迎えている。
中国政府がメンツのために、正しくない経済データを公表しているとすれば、そしてそれを続けるようなことがあれば、中国経済はさらに地盤沈下し、世界経済にも深刻な影響を及ぼすだろう。
・夜の明かりを調べれば独裁国家「経済成長」のウソがバレる
経済発展の指標として国内総生産(GDP)がよく用いられるが、GDPは政府が都合よく改ざんしやすい指標でもある。
そこで、経済学者のルイス・マルティネス氏は、世界銀行が集計している世界184カ国のGDPデータと、
気象衛星計画が観測した各国の「夜間照明」から推測される実際の経済発展を比較する研究を行った。
マルティネス氏が、発表されたGDPを衛星データから推測されるGDPと比較すると、2002~2021年までの独裁国家のGDP成長率は平均147%から76%へとほぼ半分になった。
独裁国家のGDPがあてにならないことを示すエピソードとして、中国の事例が紹介されている。地方の党書記だった李克強氏が笑いながら「GDPは参考程度です」と言ったとのこと。
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