「祖母の時から続けてきた家業なので、新型コロナウイルス感染の時も借金をしてずっと仕事を続けてきたが、もう本当に終わってしまう」
ソウル市鍾路区(チョンノグ)のある市場で最近会ったポシンタン屋のオーナーの言葉だ。
韓国国会で最近、犬肉食用禁止特別法が可決し、ポシンタンはもはや歴史の裏側に消え去る運命にある。
特別法は食用目的で犬の飼育・食肉処理・流通・販売などを禁止し、流通業者などに犬肉食用終息履行計画書を提出・履行させるようにした。
また食用を目的に犬を食肉処理すれば3年以下の懲役または3000万ウォン(1ウォン=約0.1円)以下の罰金、飼育・繁殖・流通すれば2年以下の懲役または2000万ウォン以下の罰金に処するようにした。
ただ、罰則条項は法案公布後3年後から施行される。2027年からは犬肉の製造と流通が完全に違法になるわけだ。
◇社会の冷たい視線
この日会ったポシンタン屋の経営者たちは「一縷の希望さえ消えた気分だ」と口をそろえた。
店を出るお客さんたちも主人に向かって「頑張ってください」という言葉をかけたりしていた。
あるポシンタン屋の主人A氏は「反対集会・デモにも数回参加してみたが、法案が通過するのを見て心が沈んだ。
声を出せば出すほど、返ってくるのは社会の冷たい視線と批判だけだった。もうほとんど自暴自棄になっている」とため息をついた。
別のポシンタン屋の主人B氏は「人々は犬肉の需要がないのではないかと言うが、60~70代だけでなく40代やそれ以下の若いお客さんも多く来る。
思ったよりたくさんの人たちが来るのに、メディアやアンケート調査を見ると、まるで誰も食べないかのような結果なので悲しかった」と話した。
実際、向かい側にあるポシンタン屋には、年齢層がやや高い客だけでなく、スーツ姿の若い男性も目についた。
店主のC氏は「40年以上やってきたことなのに、突然3年与えるから廃業しろと言うので戸惑っている。
ヤギ肉の店など他の仕事を探しているが、なかなか見つからない」と涙声で話した。
◇相応の対策を
犬肉食用禁止法には農場主、食肉処理業者、流通業者、飲食店など従事者の生計対策を用意するための政府支援義務化条項が含まれた。
しかし、商人たちは「あまりに安易な政策だ」と反発した。
A氏は「犬肉を巡る騒ぎは数十年前から続いてきたのに対し、従事者たちへの補償については拙速に議論された。突然法案が通過したので、今後どう生計を立てるべきか、考えれば途方に暮れる」と話した。
B氏もやはり「朝鮮戦争後の貧しい時代に生まれて、やってみたのはこの仕事だけだった。
いまさらどうやって新しい仕事を覚えるのか。精肉店や他の肉類の仕事に携われば良いではないかといわれるが、まったく別の仕事」と声を高めた。
市場近くで40年間、服の商売をしてきたという60代のソン氏は「以前はお客さんがとても多かったが、確かに雰囲気が大きく変わった。
犬の食用禁止は時代の流れだから仕方ないと思う。ただ、一方で、同じ商売人として心配している。相応の対策が必要だ」と話した。
https://www.afpbb.com/articles/koreanews/350034...
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