能登半島地震から1週間以上が過ぎ、被害の全容がまだつかめていない。今回もというか、やはり「人工地震」という陰謀論がかまびすしく出てきた。
地震発生当時の1月1日、SNSのトレンドには「人工地震」というキーワードが躍った。
岸田総理は地震発生の翌日、悪質な虚偽情報の流布について、「決して許されるものではありません」などとコメントした。(途中略)
元日の能登半島大地震で「またも」沸き上がった「人工地震」を唱えるアカウントを、私は発生後から可能な限りつぶさに監視してきた。
その結果、彼らの言う「理屈」というのはおおむね以下のとおりである。
・能登半島地震は、他国や、国内の勢力が意図的に地中深くに爆弾を埋め、それを起動させたことによって発生した「人工地震」である。
・なぜこのタイミングで「人工地震」が起こされたのかといえば、岸田政権の醜聞や各種のスキャンダルを隠ぺいするためのものである。
ほとんどがこの言説で埋め尽くされている。これをいちいちファクトチェックするのは極めて馬鹿馬鹿しいことであるが、あえてやるとすれば、
現在、人類の技術でマグニチュード7クラスの「人工地震」を起こすことはできないし、また仮にそのような膨大なエネルギーがあったとしても、
能登半島地下でそのような人為振動を起こす必要性がない。
東京直下や、ニューヨークやロンドンや北京でやったほうが「(何かの隠ぺいのためには)効果的」なのであろうが、その矛盾について合理的な理屈は何もない。
そもそもなぜそんな遠大な計画を、いちSNSユーザーに過ぎない”あなた”が知っているのか。そのような「朴訥」な疑問には一切答えられない。
・「人工地震」陰謀論者の笑止な根拠
人工地震陰謀論者は、「戦前の新聞には、人工地震が堂々と掲載されていた」といい、ほとんど必ず以下の画像を添付して、「人工地震」の正当性を主張している。
写真は1930年代の読売新聞に掲載されたものとして拡散されているものだが、実はこれ、紙面をよく読んでみると、「人工地震」ではなく「人工振動」のことを言っていることがわかる。
人工振動というのはもちろん存在する。地中にダイナマイトを埋めて炸裂させ掘削したり、あるいは地下核実験の場合でもある種の振動は観測される。
地表や、地表近くで爆発が起これば、観測所で振動が観察されるが、それは地震ではなく、振動である。
プレートのひずみが蓄積されたことで起こる地震とは異なり、人為的振動をかつて一緒くたにして「地震」と付記していたに過ぎない。
当時はそのことも含めて、慣用的に人工振動を「人工地震」と書いていたのである。要するに、自らが添付している画像の内容すらよく読んでいないのである。
このような陰謀論は、東日本大震災でも頻出した。探査船「ちきゅう」が3.11の直前に三陸沖で活動しており、それが海底にボーリングして(以下省略)
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f8a06d32f67bdb...
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