「大人は毎朝、新聞を読むのが当たり前」そんな時代はもう、とっくに過ぎ去ってしまった。
70代の8割がスマホを持つ世の中で、巨体を維持できなくなった彼らは、どこへ向かおうとしているのか。
・デジタルさえ「頭打ち」
「ネット重視」「バズり重視」に走る紙面の変質も影響しているのだろうか。朝日新聞では最近、
「夜討ち・朝駆け」の最前線である警察担当の若手〜中堅記者が複数人、示し合わせたように続けて退職したという。
「ネットでは記事の中身よりも、どれだけ多くの人の関心を惹けるかという『アテンション』の量で収入が決まります。
そのため、政策のあり方や公権力の不祥事、事件・事故の検証といった堅い記事よりも、経済ニュースのやさしい解説とか、
暮らしに役立つ情報が『稼げる記事』として優遇され、その結果、ジャーナリズムの機能が弱まっているのです。
紙の朝刊もひとつひとつの記事が長くなり、文字が大きくなって情報量が減っています。
昔は『新聞は地味なベタ記事にこそ宝がある』と言われましたが、いまの新聞は識者のオピニオンやインタビューを増やして
『雑誌化』しているといえます」(前出の磯山氏)
各社、激減する紙の収入を埋め合わせようとネット進出に躍起になっているわけだが、それさえも曲がり角を迎えている。
朝日新聞は2010年代以降、20以上のネットメディアを立ち上げたり運営に参画したりしてきたものの、「もうかっているメディアはひとつもない」(朝日新聞のデジタル部門関係者)。
2023年5月には、出資している看板メディア「バズフィード」でニュース部門が閉鎖されて波紋を呼んだ。
全国紙の中で「いちはやくデジタル化に成功した勝ち組」と言われてきた日経新聞でも、昨年から雲行きがあやしくなってきた。
財務省や日銀などを長年担当し、ツイッター(X)のフォロワー数60万人超を誇るエース・後藤達也氏が独立したのを皮切りに、東京本社の経済部で大量退職が起こったのである。
40代で、現在は別のメディア企業に勤める日経の元経済部記者が明かす。
「日経の有料・無料をあわせたデジタル会員の数は、これまで右肩上がりで増えていましたが、それがついに減少に転じた。
頭打ちということです。これから紙の部数が増えることはまずないですから、給料が減ることはあっても増えることはないと考えて、中堅が一気に流出し始めたわけです。(中略)
・そして読売だけが残る
読売新聞グループ本社の山口寿一社長は「読売は唯一の全国紙になる」と公言している。規模で読売に劣る朝日や日経、毎日の苦境を見渡せば、その言葉には現実味があると言わざるをえない。
キーマンの懐に入り込んでときに相談相手ともなり、数ヵ月に一度、鮮やかなスクープを飛ばす。デスクがタバコを燻らせながら部下を叱咤し、原稿を書き終えたら夜の街へ向かって次のネタを探す……。
そんなかつての「ブンヤ」の姿はもう、すっかり消え去った。「大崩壊」へのカウントダウンが鳴り響く中、会社に残るのか、それとも去るのか、記者たちは選択を迫られている。
https://gendai.media/articles/-/12091...
返信する