ーーーアンミカの話ーーー
韓国では両親の墓を別々に分けますが、そうすると母は、母方の許家に遺骨が戻されてしまう。
それは可哀そうだからと、教会で父と一緒に納骨していたのですが、そのうち、父方の安家の墓に入れてあげようよ、ということになったのです。
それで初めて、両親の遺骨をもって、兄弟全員で済州島に行ったのが日韓ワールドカップの前年でした。
29歳でした。2001年の10月に、済州島の摹瑟浦に行きました。
初めて済州島に行くので、皆でおしゃれをして行ったら、現地で墓守をしている親戚のおじさんが来て、
いきなり「お前たち、なんて恰好をしているんだ。長靴を履け」と(笑)。
それで長靴を履いて、全員、カマを持たされて。どうしてカマとハサミを持つんですかと聞いたら、これから山を刈って、草刈をして、土葬だからゴザを敷くんだと。
通訳は親戚のおじさんがしてくれたのですが、正直、思っていた再会のイメージとは違って、ショックでした。
だって、向こうからするとこちらは、久しぶりに会う日本のいとこ。私たちも、韓国にいる、私たちの両親を知る、いとこに会えるのだと。
皆で歓迎してくれて、涙ながらにハグをするんだと思って、お土産もいっぱい持っていったんです。
でも、出てくる言葉は墓守をするための、お金の話とか。
日本で裕福な暮らしをしていると思われていたり、先祖のことなどいろいろな話を聞かせてくれるかなと期待していたら、
歓迎されている感じが全くなく、それがすごくショックでした。
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オレの知っている朝鮮人もほとんど同じ話をしていたわ。ちなみに同じ済州島出身。
「現地で墓守をしている親戚のおじさん」がいるという話が全くそっくりだわ。「金を要求されて出した」という話も。
済州島では(嘘か本当か怪しいが)一族が同じ墓に入る。だから一族の偉い人が代々「墓守」をしているんだそうだ。話のテンプレありそうだ。
「本当か? 先祖代々の全員を土葬にしてたら墓がいっぱいになるではないか、一族だったら限度を設けないと数代で何千人にもなるぞ」
と笑ったら「朝鮮お墓は大きいから大丈夫なのだ」と怒られた。
これ無茶苦茶ムジュンした話だよなあ。例えばキムさんの一族が全員ひとつの墓に入るとか不可能だろ? 前方後円墳クラスの墓が必要だ。
それに「朝鮮では墓は一人づつだと聞いてるが」と言ってやったら、「済州島はちがうんだ」とふくれていた。
あまり好きな朝鮮人ではなかった。仕事の部下だったんだ。
オレたちの部署が国家プロジェクトをやることになってそいつは外れた。日本国籍が条件だったから。
でもその部下がいなくなってホッとした。
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