案の定、不安視されていたことが、戦場で実際に起こり始めているようだ。
専用列車でロシア入りした北朝鮮の金正恩総書記が、プーチン大統領と会談したのは今年9月のこと。その中で武器売却の密約が交わされたと伝えられる。
それを裏付けるように翌10月には、正恩氏訪露の際、長さ6メートルのコンテナ1000個を超える兵器がロシアに送られた可能性があるとホワイトハウスが発表。
具体的兵器名については明かされなかったものの、それが「弾薬や軍事装備」であることは間違いないとしている。
軍事アナリストが解説する。
「北朝鮮が使用している砲弾やロケット弾は、もともと旧ソ連時代の兵器に改良を加えたものであるため、互換性があるのです。
北朝鮮は有事に備え、それらの弾薬や軍事装備を大量備蓄しているとされ、それらがロシアに提供されれば、短期的には戦況が変わる可能性があると見られてきました。
ただし、北朝鮮の場合、品質や備蓄状況、経年劣化の程度に不明な部分があり、暴発などの危険性も懸念されていたのです」
そして予想通り、ロシア軍が使用する北朝鮮製の粗悪な砲弾が暴発する騒ぎが多発しているようだ。
12日のポーランドメディア「エッサニュース」が伝え、波紋が広がっている。
報道によればここ最近、砲弾の早発による自走砲の損傷事故が増加、最前線で運用されているロシア軍戦車での爆発事故も多発しているとのこと。
その原因が、投入され始めた北朝鮮製の品質の悪い弾薬が、撃つ前に砲身内で爆発してしまうためだというのである。
「実は、北朝鮮提供の武器が不良品だという報道は初めてでなく、9日にはウクライナの軍事メディア『ディフェンス・エクスプレス』が、
北朝鮮がロシアに提供した152ミリ砲弾5発を入手して解体・分析したところ、砲身内部の銅粉末をとりのぞくために必要な電線部品がなく、
火薬の量や色も砲弾ごとに違っており、一部砲弾は密封部分が破損、中に湿気が入りこんでいる状態だったと伝えています。
そのため、砲弾は飛行距離がまちまちだったり、なかには撃つ前に爆発するケースも生じていると予想しています。
つまり、危なすぎて実戦で使えるようなシロモノではないというのです」(同)
ディフェンス・エクスプレスは、こうした粗悪品製造の要因について、「品質より量を重視する北朝鮮の計画経済がこうした欠陥を招いている」と指摘しているが、
「逆に言えば、そんな粗悪品でさえ使わなければならないほど、ロシアの武器弾薬が枯渇状態にあるということです。
金総書記と会談する前までは、ロシアはもっぱらイランから武器弾薬を輸入していましたが、会談以降は両国から補充している。
むろん、これは西側による輸出規制で、ロシアの軍事物資調達がままならないため。
背に腹は代えられないプーチンとしては、粗悪品に目をつぶってでも弾薬を調達したいので、今後も最前線では砲弾の暴発事故は避けられないでしょう」(同)
北朝鮮製砲弾の品質の悪さにはロシア軍内部からも不満の声が出始めいるという。
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