頑強な骨格・筋肉と優れた運動能力を持っていたネアンデルタール人とホモ・サピエンスが
1対1で戦えば、ホモ・サピエンスには全く勝ち目が無かっただろうと言われています。
そのように、特に身体的能力が抜きん出ていたわけではなかったサピエンスですが、
およそ7万年前、その脳に“認知革命”が起きました。
何故かサピエンスには、「実在しないものを信じる能力」が身についたのです。
認知革命の始まりは、噂話をして、それを信じるようになったことです。
つまり、「あそこのあいつはめちゃくちゃ強いぞ」とか「あいつとあいつは仲が悪いらしい」
と言った具合です。
他の人類種は、サピエンスのように噂話を信じない(そもそも噂話もしなかったのかもしれない)
ので、自分の目で見たものしか信用しません。
つまり、全員が親しく知っている集団しか作れません。
そういう集団は、最大でも50人程度にしかならないと言われています。
しかし、サピエンスの場合は、「あの人すごいらしいよ」、
「あの人の言うとおりにすればネアンデルタール人にも勝てるんだって」
などと言われれば信じることができるので、その話を共有するだけで、
見知らぬ者同士でも協力し合うことができました。
そのおかげでサピエンスは、当時でも最大150人規模の集団が作れたそうです。
こうして、近隣の他の集団や、遠く離れた場所にある集団とも団結できるようになったサピエンスは、
大集団でネアンデルタール人を襲い始め、ついには滅ぼしてしまったのです。
その“認知革命”以降は、言わずもがな、国家、貨幣、宗教という、
人類史最強の「虚構」が世界を構築し続け、都合が良いと集団が認識すれば、
時には真逆にも価値観を変えながら(フィクションは実在するものでないので、
その時の権力者やリーダーが新しいフィクションを柔軟に作りだすことができる)、
歴史は今に続いています。
フランス革命が起きたり、明治新政府ができたりしたのは、フィクションが切り替わって、
多くの人がそれに賛同した(新しいフィクションを信じた)ということに他なりません。
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