読売新聞続報 「ソウル高裁、日本政府に元慰安婦1人あたり2300万円支払い命令…資産差し押さえも」
【ソウル=小池和樹】韓国人元慰安婦ら計16人が日本政府を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、ソウル高裁であった。
原告の請求を却下した1審・ソウル中央地裁判決を取り消し、請求通りに元慰安婦の原告1人あたり2億ウォン(約2300万円)の支払いを日本政府に命じる判決を言い渡した。
日本政府は、国家の行為や財産は他国の裁判所で裁かれないという国際慣習法上の「主権免除」の原則から、この裁判に応じていない。
上告しなければ判決が確定する。日本政府が賠償に応じる見込みはなく、判決が確定すれば、原告らは韓国内の日本政府資産の差し押さえを目指す可能性がある。
訴訟では、韓国の裁判所が主権免除を認めるかが焦点だった。
この日の判決は慰安婦問題を巡り、当時の日本政府が現在の韓国領土内で韓国人に対して行った不法行為だと認定した上で、
「主権免除が否定される場合に該当する」と判断し、韓国に裁判権があると結論付けた。
日本政府について「被害者を強制的に拉致したり、だましたりして、被害者は最小限の自由さえ抑圧された」として賠償を命じた。
2021年4月の1審では、国際司法裁判所(ICJ)の判決などを根拠に主権免除が適用されると認め、原告の請求を却下した。
15年に日韓両政府が「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した慰安婦合意についても、「元慰安婦の権利を救済する手段」と認定していた。
しかし、この日のソウル高裁は日本政府が裁判に応じていないことを理由に、慰安婦合意は「争点にならない」として触れなかった。
日本政府を相手取った元慰安婦らの訴訟は別にもう1件あり、21年1月にソウル中央地裁が賠償を命じ、日本政府は控訴せずに確定していた。
地裁は同6月、韓国にある資産の目録を開示するよう日本政府に命じたが、日本は応じていない。
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