ここ42日の間にイスラエルはガザ地区であまりに多くの民間人を殺した。そのためアメリカ国内でも、イスラエルの手法について懸念がたかまっている。そしてイスラエルが本当の意味で気にする主要国は、アメリカだけだ。
アメリカのジョー・バイデン大統領は当初から、イスラエルには自衛権があるものの、その行使は正しい方法でなくてはならないと述べた。正しい方法とはつまり、戦争法に従うことを意味する。
15日には国連安全保障理事会が、「人道的休止」の延長を求める決議案を採択した。アメリカは拒否権を行使しなかった。
これは重要な展開だった。ガザ情勢についてハマス非難を含まない決議案に、アメリカとイギリスが初めて、拒否権を使わなかったのだ。
●「さらにテロを醸成」
加えて興味深い展開のひとつとして、世界各国の元首脳たちからなる非政府組織(NGO)「長老たち(The Elders)」が、ハマスを非難しつつ、「ガザを破壊し民間人を殺すことは、イスラエルの安全を増すことにつながらない」とする声明を発表した。
「長老たち」は、イスラエルのこうした行動が「中東内外でさらにテロリズムを醸成することになる。この紛争は軍事的手段では解決できない」とも述べた。「長老たち」は、ジミー・カーター元米大統領や南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領らが2007年に結成した。
つまり、停戦要求の圧力はひたすら高まり続けているし、イスラエルはそれを承知している。イスラエルの戦略を疑問視する声が高まる中で、その圧力はいっそう強くなる。
そうそう簡単に終わる状況ではない。「やるべきことはやったのでガザを後にできる」とイスラエルが言えるような、明確な区切りとなる瞬間は今後ないだろうと私は思っている。
そして、その翌日からどうするのかという計画も、イスラエル政府にはないようだ。ネタニヤフ氏は、「テロの再浮上」を阻止するためガザ地区の治安維持にイスラエルはしばらく責任を負うのだろうとしか言及していない。
とてつもない規模の殺害と破壊を経験したガザ地区で、イスラエルが何をするにしても、自分たちを憎悪する200万人以上に対応しなくてはならない。イスラエルがどれだけガザ地区にとどまるかによっては、反乱が起きる可能性もある。
そのためイスラエルにとっては、1万人以上の民間人を殺したやり方しか、自分たちにはほかにやりようがなかったのだと証明するのは不可欠だ。停戦を求める国際的な圧力から、支援国がイスラエルを守り続けるためには。
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis...
返信する