介護が必要な高齢者の増加に伴い、使用済み紙おむつの廃棄量が増え続けている。水分を多く含む紙おむつごみは焼却処理が難しく、自治体はコスト増に頭を悩ませる。環境省は今夏、リサイクルに取り組む自治体を3倍に増やす計画を策定したが、実現への道のりは容易ではない。(矢野恵祐、小野寺経太)
●焼却炉が劣化
「おむつを入れると必要な温度を保つのが難しい。焼却炉は劣化してボロボロだ」。静岡県掛川市のごみ処理施設「環境資源ギャラリー」の担当者はため息をつく。
市内で廃棄される焼却ごみは年間約2万3450トン。うち、使用済み紙おむつは6%を占めると推計される。し尿が付着した紙おむつは燃えにくく、焼却炉に助燃剤として灯油を投入する。だが紙おむつは石油化学物質を含むため、いったん燃え出すと高温になりやすく、炉の内部に貼られたれんがをひび割れさせてしまう。
炉が劣化するとごみ焼却に必要な温度まで上げることが難しくなり、さらに助燃剤を使用するという悪循環。燃料費の高騰も重なり、2022年度の助燃剤の購入費は約1億230万円に上り、2年前より倍増した。この担当者は「突然の故障も多いし、焼却コストが将来、どこまでかさむかわからない」と頭を抱える。
●一般ごみに占める割合は増加
リサイクル意識の広がりで、国内の一般ごみは減少傾向だが、使用済み紙おむつの廃棄量は増加の一途をたどる。
日本衛生材料工業連合会などによると、15年度の廃棄量は208万トンで、一般ごみ全体に占める割合は4・7%。少子高齢化で、大人用おむつの廃棄量は子ども用の減少分を上回るペースで増え、30年度には245万トン、割合は6・6%に増えると予測されている。
プラスチックやパルプ、高吸水性樹脂でできている紙おむつは、回収・洗浄して紙おむつに再生したり、固形燃料に再資源化したりすることができる。そこで環境省は20年、紙おむつごみの減量を目指し、自治体向けにリサイクル方法を紹介するガイドライン(手引)を作成。だが、リサイクルに取り組む自治体は今月時点で35(準備中を含む)にとどまる。
「何から検討したらいいかわからない」「コストが不明」などの意見が多く、同省は今年8月、導入事例を盛り込んだ実践的な手引に改定することを決定。取り組み自治体を30年度までに100に増やす目標を掲げ、先行自治体と周辺自治体の連携支援や、事業者向けのリサイクル施設の整備費補助を実施する方針だ。
●分別回収や採算性の難題
しかし、リサイクルの確立には、分別回収や採算性などの難題が立ちはだかる。
将来のリサイクル化を検討する東京都町田市は05年から、紙おむつ専用の回収袋を無料配布している。だが、21年度に一部地域で回収状況を調べたところ、想定の1割にも満たず、市環境政策課の鈴木洋明係長は「周囲の目を気にして、燃えるごみの袋に入れて出す住民もいると考えられる。分別回収率の向上も課題だ」と話す。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20231117-OYT1T50075... 日本、終わりかけてんな…
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