◇マユツバの経常黒字
――日本のように貿易収支ではなく、配当収入で外貨を稼げばいいのでは?
鈴置:韓国は20世紀の末に債務国から債権国に転換しました。ただ、海外資産からの配当など第1次所得収支は2022年で229億ドルに過ぎません。
日本のそれは33兆3087億円(約2221億ドル)ですから、桁違いに少ない。
(中略)
一方、今年8月までの経常収支の累積黒字は先ほど述べたように、109・8億ドルしかありません。
民間からの「召し上げ分」がなければ、経常赤字に陥っていた可能性が高いのです。
――こんな小手先の誤魔化しをするなんて……。
鈴置:それだけ韓国の外貨繰りが際どい状況にあるということです。外準が目減りしようと、資本逃避を防ぐためにはウォンを買い支えるしかない。
外準の減少を誤魔化すために、経常収支を黒字と見せかける――。経常黒字が続けば外準の増加が期待できますからね。
◇日韓スワップは存在するのか
――韓国には日本との通貨スワップという最後の手段があります。
鈴置:その切り札が本当に存在するのか今、疑われています。日韓両国政府は6月29日、スワップを結ぶと発表しました。
ところが、日本の財務省が「2023年9月18日現在」として発表している「アジア諸国との二国間通貨スワップ取極」に韓国の項目がないのです。奇妙な話です。
国際金融の専門家が主宰するサイト「新宿会計士の政治経済評論」が9月20日、「日韓通貨スワップはどうなった?」という記事でこの事実をいち早く指摘。
さらに「少なくとも現時点において日韓通貨スワップが発効していないことは間違いない」と断じました。
専門家の間には「スワップ期間に関し日韓の間で調整が付いていないのだろう」と推測する向きが多い。
日本側が6月29日に発表した「第8回日韓財務対話プレスリリース」では「100億ドルの通貨スワップ取極の再開に合意した」とあるだけで、その開始日や期間に関し言及していません。
韓国企画財政部が同じ日に発表した「韓日100億ドル規模の通貨スワップ締結」(韓国語)も、本文では「2015年2月の終了当時と同じ米貨100億ドル規模で締結することにした」とあるだけです。
しかし、参考資料のところに「こそっ」といった感じで「期間は3年間」と書いてあるのです。
――これまた、せこい話ですね。
鈴置:韓国は日本に対しよく、この手を使います。合意に至っていなくとも、自分の主張通りに合意したと発表するのです。
日本側が「ひっくり返すのは大人げない」と結局は飲んでしまうことが多かったからです。
正式には決まっていないとしても、市場が「日韓スワップは存在する」と信じている間はウォン防衛の助けになります。問題は日韓関係が悪化した時です。
日本側が「本当は存在しません」とリークするかもしれない。「韓国の嘘」が明らかになれば、ウォン攻撃の火の手は一気に燃え上がるでしょう。
https://news.livedoor.com/article/detail/25315422...
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