元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(39)が、J3YS横浜と連携し、新たに日本でスポーツ事業に参画することが30日までに分かった。イニエスタが共同所有するスポーツ・エンタメ事業会社「Never Say Never(NSN、スペイン)」がYS横浜と資本提携を結び、クラブの強化を後押しする。さらに、横浜を拠点とする明治元年創設の名門スポーツクラブ「YC&AC」も交え、さまざまなプロジェクトを推進していくことになった。
日本から去ったイニエスタが急転、再びJクラブと手を取ることになった。ある関係者は「夏に神戸を退団することが決まり、いろんなことが一気に進んだ」と明かす。NSNは10月下旬までにYS横浜と協議を重ね、資本提携することで大詰めを迎えた。正式合意となれば、出資しながらクラブ事業に参画していく。
すべては「日本とスペインの架け橋になりたい」という大の親日家、イニエスタの思いから始まった。
本来「架け橋」となるはずだった神戸とは、双方の思いが擦れ違い契約満了を待たずに退団。「僕は鹿島のジーコさんのようにはなれなかった」と漏らしたという。
実は、出場機会が激減したことをきっかけに、昨年から新たな「架け橋」となる場所を模索していた。
その中でYS横浜を知った。小学生対象の横浜開港記念カップを20年近くも主催するなど、地域に根差した市民クラブの姿に共感し、接点を持つようになった。
そして転機は昨年12月。YS横浜が練習拠点とするYC&ACを、NSNのボラス代表が視察した。155年の歴史を持つ国内最古のスポーツクラブにはスポーツ施設だけでなくレストラン、バー、ボウリング場、図書館までそろい、館内には歴史を伝える古き写真が展示されていた。「これこそ我々が求めていたものだ」と興奮し、イニエスタに動画や写真ですぐ報告した。世界中でスポーツ、エンタメ事業を展開するイニエスタグループにとって近代スポーツ発祥の地、横浜は魅力的だった。
NSNはパートナー関係を強めるべく行動に出た。コロナ禍でYS横浜が今年1月の決算期に債務超過の危機に陥ると資金援助。さらにYC&ACの練習場が老朽化していることを知ると、海外投資家から資金を集めて改修する計画を立てた。互いの距離はグッと縮まった。
現役選手のイニエスタはUAEに滞在するが、NSNは日本を拠点にYS横浜との連携を強める。今冬からイニエスタのスクール事業を関東でも共同展開していくほか、NSNのネットワークを使って海外から選手を獲得する。さらにイニエスタが所有するスペイン4部CDアトレチコ・パソへ今夏からMF田原廉登が期限付き移籍したように、日本から欧州へのバイパスも整えつつある。
YS横浜側はイニエスタを「とても実直な人物」と評し、「将来はJ2、J1と上を目指す考えを持っている。盤石なパートナーとして一緒にやり遂げたい」と話す。YC&AC側もまた、グラウンドの改修計画を受け入れ、今後の三者協業に前向きだ。その先に見据えているのはサッカーだけに終わらず、地域資源を活用してのマルチスポーツ事業。例えば、横浜から絶景の三浦半島を経て湘南を目指す自転車レースの創設なども思い描いている。
未来はイニエスタとともに-。横浜で夢のプロジェクトが動きだした。
https://www.nikkansports.com/m/soccer/news/202310300001453_...
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