アヤロン氏はイスラエル海軍で指揮官などを歴任。その後、占領下においてきたパレスチナの抵抗運動に関する情報を一手に握るシンベトの長官を1996年から4年間、務めました。
2000年に退任した後は一転して、イスラエルとパレスチナの2国家共存による中東和平の必要性を強く訴えてきました。
パレスチナと対峙する最前線から和平推進派に転身したアヤロン氏は、ハマスによる大規模な奇襲攻撃、その後のイスラエルによる報復をどう見ているのか。事態収束の道筋をどう考えているのか。話を聞きました。
(以下、アヤロン氏の話。インタビューは10月18日に行いました)
~中略~
●これまでのガザ政策は間違いだった?
私は20年以上前にシンベトを去りましたが、多くの軍司令官、特にシンベトの長官はみな「ガザに対する政策は間違っている」と言い続けました。
間違った前提に基づいた政策であり、そもそもハマスの理論と戦略を理解していない人たちによる政策だったのです。
選挙で選ばれたのだから何をやってもいい、という考えに基づくもので、そうした政策は15年続きました。
「中東和平交渉の基本方針となってきた2国家共存の実現の阻止、イスラエルの隣にパレスチナ国家が誕生するのを阻止するためなら何でもする」という考え。
そのためには、パレスチナの人々を分断しなければなりませんでした。
この15年間、ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府にとって、ハマスが支配するガザとパレスチナ自治政府のヨルダン川西岸を分断することは、非常に都合のいいことでした。
『パレスチナ人には統一した政府、指導部がない。だから、私たちは交渉することができない』
国際社会に対しても、国内向けにも「交渉したいのはやまやまだが、どうすればいいのか。話し合う相手がいない。話すことは何もない」と簡単に言うことができたのです。
しかし、これは完全に間違っています。
パレスチナの人々は自分たちを1つの民族とみなしています。よりよい経済やよりよい教育だけを求めているのではありません。自由を勝ち取り、占領が終わることを求めているのです。
ハマスとファタハをどんなに分断させようとも、少なくとも占領を終わらせるということに関して、彼らが分断されることはないのです。
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