『当社が長年にわたり起用中の三浦選手を自社の競合製品に起用するサントリーウエルネスの行為自体にも問題があります』
8月4日、栄養ドリンク「リポビタンD」で知られる大正製薬が配信した「ハットトリック社との訴訟について」というプ
レスリリースが物議を醸している。
事の発端は、同社が2016年からリポビタンDの広告宣伝に起用していたサッカーの三浦知良選手に、錠剤タイプの「リポ
ビタンDX」に起用しようと思ったところ、三浦選手の広告起用を行っている広告代理店「ハットトリック」から、契約書
には「錠剤」の記載がなく対象外ということで断られてしまったことだ。
しかし、ほどなくして大正製薬側が腰を抜かすような事態が起きる。三浦選手がリポビタンDXと競合関係にあるサントリ
ーウェルネスのサプリメント「セサミンEX」の広告に起用されてしまったのだ。
三浦選手側からすれば契約を結んでいるのは、あくまでリポビタンDという栄養ドリンク剤なので、サプリメントのCM出
演は問題ないという判断だったのかもしれないが、大正製薬からすればとんでもない裏切り行為である。
契約書に記載されていないが、リポビタンDXはれっきとしたリポビタンシリーズなので、三浦選手は広告契約における
競合禁止規定を破っていると主張して、ハットトリック社を訴えた。が、裁判所は契約書に「錠剤」の文言がないことを理
由にこの請求を退けたのだ。
大正製薬が敗訴を公表したワケ
とはいえ、大正製薬の怒りは収まらない。そこで裁判所に対して「社会常識に明らかに反する」と不満を爆発させるとと
もに、冒頭のようにサントリーウエルネスにまでバッサリと斬りつける「怒りのプレスリリース」となってしまったという
ワケだ。
あくまで一般的な話だが、この手の広告トラブルをわざわざリリースで公表することは少ない。しかも敗訴したとなれば
なおさらで、企業イメージが悪くなるからだ。
特にリポビタンDは現在、木村拓哉さんがCMキャラクターだが、ラグビー日本代表を応援しているほか、過去にはプロ
野球の田中将大投手、プロゴルファーの松山英樹選手、プロバスケの八村塁選手をCMキャラクターに起用して、「アスリー
トを応援している」というイメージを訴求していた。
そんなブランドが、相手は広告代理店とはいえ、レジェンドアスリートの三浦選手と契約でもめているのだ。イメージが
下がることはあっても、ブランド価値が上がることはまずない。
にもかかわらず、大正製薬はこの敗訴を自ら公表した。なぜかというと「このような事態が今後起こらないように」だと
いう。リリースによれば、スポーツ選手や芸能人の広告に高額な契約金を支払うのは、競合の広告に出演しないという「業
界の慣習」からであり、今回のような事態が許されてしまうと、それが揺るがされて、高額な出演料を払うことも難しくな
るという。続く→
https://news.yahoo.co.jp/articles/0f3dcb9f4eac9471d6968...
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