大手回転ずしチェーン「スシロー」の店舗で、迷惑行為をした客の少年(17)に運営会社が約6700万円の損害賠償を求めていた裁判で、調停が成立したことが1日、明らかになった。
SNS上では“すしテロ”に対して「少年に厳重なペナルティーを科すべき」との声が上がっていたが、なぜ、運営会社は調停を受け入れたのか?
そこにはスシロー側の深い事情が見え隠れする。
問題となった“すしテロ”事件は、今年1月に客の少年が岐阜市内の店舗でしょうゆ差しや湯飲みなどをなめまわした動画がSNSに拡散したことで発覚。
その結果、衛生面を心配する客の声が多数上がり、一時、運営会社の株式時価総額が約168億円も目減りする事態に発展していた。
こうした事態を受けて、スシローは約6700万円の損害賠償を求め提訴。
訴状でスシロー側が「迷惑行為によって全店舗で客が減り、衛生管理への信用を失った」と主張したのに対し、
少年側は「客が減ったのはほかの回転ずし店との競合によるもの」と、争う姿勢をみせていた。
それが一転、なぜスシロー側は調停を受け入れたのか?
回転ずし評論家の米川伸生氏は、深い事情をこう解説する。
「スシローは昨年10月に値上げしてから、客足がガクンと落ち込み、ずっと業績はよくなかった。
そういう意味で他社との競合に負けて客足が減ったという少年側の主張は、一部、真実を突いている。
だから、これを争点にされて大々的に報じられると、他社に負けたスシローというイメージが客に刷り込まれ、さらに客足が遠のく火種になりかねない。
そこで裁判は続けず、調停という形で決着をつけたとみられる」
業界トップのスシローは昨年10月の値上げ以降、業績が悪化し続けている。
皮肉なことに1月の事件を受け、多くの著名人がSNSでスシロー支援を打ち出したことで2月こそ業績はV字回復したが、以降、再び右肩下がりだ。
一方、低価格路線を維持した競合他社の業績はおおむね順調で、少年側が来客減の原因は「他社との競合」と主張するのも、あながち間違いではない。
そのためこのまま裁判を続けると、自らの“傷”に塩を塗ってイメージを落とすという判断が働いた可能性が高いというワケだ。
スシロー側が調停を受け入れたことで、SNS上では「これでよかったの?」「抑止力を放棄したのか?」といった声が相次いだ。
なかには「徹底的に戦って模倣犯を許さない前例を作るべき」という声もあったが、弁護士法人・響の古藤由佳弁護士は今回の調停成立を「勝訴できる見通しがあれば、スシロー側が調停=和解に応じるメリットはない。
調停に応じたということは、約6700万円という損害額の立証が難しかったか、裁判継続によるデメリットがあったということでしょう」と分析。
その上で少年側の支払額について「一般的に調停が成立すると、支払額は大幅に減額される」とした。
スシローは少年側に痛いところを突かれて調停に持ち込まれてしまったことは、大きな“誤算”だったのかもしれない。
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/27162...
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