表面上は損保が「被害者」になっているように見えるが、現場ではうすうす不正請求であることに気づいていたのではないか?という声が確実に増え、それでも厳しく取り締まらなかった実態が判明した。
関係者への取材で分かったことは、過去5年間だけでも水増し請求を含めた各種の不正請求分は複数社の合計で100億近くになると言われており、5年で100億もの巨額不正請求分を損保が気づかないはずはない。当然、分かっていて“黙認”してきたのである。
では、なぜ不正請求だと分かっていて“黙認”してきたのか?それは、損保は不正請求を“黙認”する代わりに、ビッグモーターからビッグなご褒美がもらえるからである。そのご褒美のひとつが「自賠責保険の獲得」だったのだ。ビッグモーターの関係者は以下のように明かした。
「損保からビッグモーターの板金工場に入庫誘導した件数に応じて自賠責保険を使ってもらえる密約がありました。入庫1件につき自賠責5件です。損保によっては7件の場合もありました」
つまり、事故車1件の入庫をビッグモーターに誘導してくれた保険会社には、見返りとして5台分、損保会社によっては7台分の自賠責保険をその保険会社と契約する、ということだ。
2021年秋に発覚した保険金の不正請求について、ビッグモーターと関わりのあった損保はそれぞれ独自で社内調査をすすめ、東京海上と三井住友の2社は不正のあったビッグモーターの店舗を特定し、公表した。
だが損保ジャパンはビッグモーターとの関係もあって、自賠責などで年間数十億円以上の収益を得ていたため、前出の2社のような厳しい社内調査は行われず、早々にビッグモーターとの取引を再開した。
このメールは、それまで付き合いのあった東京海上と三井住友に対しては自賠責の発行を7月14日以降ストップし、そのかわりに損保ジャパンとの契約は今後も続けるよう、暗に社員に指示したものだ。不正を公表しなかった損保ジャパンへの莫大な「ご褒美」とも受け取れる(しかしその後、損保ジャパンは業界の大バッシングを受けて再び、ビッグモーターを提携工場のリストから除外し、入庫誘導などを停止している)。
ビッグモーターが会見を開いた翌26日、損害保険ジャパン株式会社は「ビッグモーター社への対応に関する社外調査委員会の設置」についてというリリースを出した。お客様、代理店、関係者に対するお詫びとともに社外調査委員会の調査結果を公表する方針を出したが、どこまで真相を公表できるかは未知数だ。
多額の水増し請求に関して損保側が気づいていないはずはない、ということがお分かりいただけただろうか?保険会社も「修理代が必要以上に高い」と分かっていながら、自賠責保険の契約欲しさに、厳しく取り締まることなく、見て見ぬふりをしてきた。ビッグモーターの悪事を知りながら、それを黙認することで保険契約を増して甘い汁を吸っていた、という意味では“共犯”なのである。
https://news.livedoor.com/article/detail/24696110...
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