アメリカの場合
「一般財源(General Fund)」から支出(実質は借金依存が高い)
仕組み: 所得税や法人税などの税収と、米国債(Treasury Securities)で調達したお金を一つの財布に入れます。防衛費はこの財布から支払われる「裁量的経費(Discretionary Spending)」の一部です。
実態: アメリカは慢性的な財政赤字(税収より支出が多い)です。そのため、「防衛費のための税金」があるわけではありませんが、実質的には巨額の防衛費のかなりの部分が「米国債」で支払われていると言えます。
補足: 9.11以降のアフガニスタン・イラク戦争などの戦費は、増税ではなく、ほぼ全額が国債で賄われたという分析もあります。
イギリスの場合
「国庫基金(Consolidated Fund)」から支出
仕組み: アメリカ同様、税金(所得税、VATなど)と国債(Gilts)による借入金を一つの国庫に入れます。防衛省の予算もここから出ます。
議論: 最近、防衛費をGDP比2.5%へ引き上げる議論の中で、「防衛国債(Defense Bonds)」を発行すべきかという意見もありましたが、政府は今のところ**「通常の税収と借入(一般の国債)で賄う」**という姿勢です。特別な「防衛専用の借金」を作る予定はありません。
日本との違い(ここがポイント)
日本(これまで): 「防衛費は消耗品だから、建設国債で買うのはダメ。税金で払うべき」という独自ルールが非常に厳格でした。
米英: 「国全体でこれだけ予算が必要で、税金がこれだけだから、足りない分は国債で埋める」というドンブリ勘定に近い感覚です。「この戦車は借金で買ったのか?」という議論はあまりされず、国全体の赤字として処理されます。
まとめ 米英ともに、「防衛費専用の税金」も「防衛費専用の国債」もなく、**「国の大きな財布(税金+国債)から出している」というのが正解です。両国とも財政赤字であるため、現実には「かなりの割合を国債に頼っている」**状態です。
ちなみに、第二次世界大戦中などは、両国とも国民に直接買ってもらう「戦時国債(War Bonds)」を発行していましたが、現在は行っていません。現在は中央銀行が買い取る。
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