>>97 コロナ禍初期の2020年4月、オーストラリアのモリソン首相が新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を国際的に要求したことに対し、中国は**「報復」ともとれる経済制裁**を発動し、両国関係は「過去最悪」とされる状況に陥りました。
🇨🇳 中国による主な経済制裁
中国は、オーストラリアの主要な対中輸出品目に対し、関税賦課や輸入停止などの制限措置を取りました。
大麦:80%を超える追加関税
牛肉、食肉:一部の輸入停止措置
ワイン:最大200%超の懲罰関税(反ダンピング関税)
石炭、銅鉱石・精鉱、木材、ロブスターなど、幅広い品目が対象となりました。
🇦🇺 オーストラリアの対応と結果
オーストラリア政府は、中国に対し対話を呼びかけつつも、「経済的威圧」に屈して国家の安全保障や公衆衛生に関する政治的立場を変えることはないと強調し、毅然とした態度を保ちました。
政治的立場:中国大使の発言に対し説明を求め、**「経済的威圧」**を受け入れて政治的立場を変えることはないと強調しました。
国際的な対応:大麦など一部の品目については世界貿易機関(WTO)に提訴しました。
市場の多角化:中国市場の代わりに、インドや日本、東南アジア諸国などへ輸出先を振り向ける(多角化する)努力を行いました。大麦の生産者は東南アジアに販売するか、別の作物に転換しました。石炭はインドや日本に輸出されました。
国内経済への影響:一部の生産者には打撃を与えたものの、輸出先転換や世界価格の上昇などに助けられ、オーストラリア経済全体への影響は実質ゼロに近いと評価されています。
⚡️ その後の関係修復と制裁解除
2022年のオーストラリアの政権交代などを機に豪中関係の緊張が緩和に向かい、中国は段階的に経済制裁を解除し始めました。
2023年以降:石炭、木材、大麦(関税見直し・提訴中断)、一部の食肉業者への輸入停止措置が解除されました。
2024年:ワインへの懲罰関税が撤廃され、牛肉の輸入規制も完全に撤廃されました。
これにより、中国がオーストラリア産品に課していた主要な経済制裁は約4年ぶりにほぼ終了しました。オーストラリアは、中国の「経済的威圧」に対し、国際的なルール(WTO)への提訴と輸出市場の多角化という戦略で屈することなく対応し、結果として制裁の多くを解除させるという「勝利」を収めたと評価されています。
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