フィリピンのマルコス大統領は11日夜に会見を開き、ICC=国際刑事裁判所からの逮捕状に基づき、逮捕したドゥテルテ前大統領をICCがあるオランダのハーグへ飛行機で移送したと発表しました。
ドゥテルテ前大統領は在任中、違法薬物をめぐり、容疑者の殺害もいとわない「麻薬戦争」と呼ばれる強硬な取り締まりを主導し、死者は政府の発表だけでも6000人を超えています。
こうした中、ドゥテルテ氏は11日に人道に対する犯罪の疑いで捜査してきたICC=国際刑事裁判所の逮捕状に基づき、首都マニラの空港で逮捕され、フィリピン当局は11日夜、ドゥテルテ氏をICCがあるオランダのハーグへ飛行機で移送しました。
これに対してドゥテルテ氏の娘のサラ・ドゥテルテ副大統領は声明を発表し、「フィリピン政府が、国民を、しかも前大統領を、外国の勢力に引き渡した。これはわが国の主権に対するあからさまな侮辱だ」と非難しています。
一方、マルコス大統領は会見を開き、「これは、国際社会が、民主主義国家のリーダーとして私たちに期待していることだ」と強調したうえで、「必要な法的手続きはすべて踏襲した。調べれば、それが適切で正しいものだとわかると確信している」と述べました。
マルコス大統領は、サラ氏の協力も得て3年前の大統領選挙で当選しましたが、去年からドゥテルテ前大統領側との対立を深めていて、今回の逮捕で、双方の対立は決定的となりました。
ICCによりますと、ドゥテルテ氏はハーグに到着次第、予審裁判部に出頭して公判前の手続きが行われる予定だということです。
●ドゥテルテ氏 ICCに出頭へ
ドゥテルテ前大統領の移送を受けて、オランダ・ハーグのICC=国際刑事裁判所は11日、捜査の結果、ドゥテルテ前大統領が2011年11月から2019年3月までの7年あまりの間、犯罪者の超法規的な殺害を指示するなど、人道に対する犯罪に関わった疑いがあるとして逮捕状を出したことを明らかにしました。
ドゥテルテ氏はハーグに到着次第、ICCに引き渡され、予審裁判部に出頭して公判前の手続きが行われる予定だということです。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250312/k1001474719... 2024年10月28日
フィリピン前大統領 「麻薬戦争」みずからの責任認める姿勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241028/k1001462222... ドゥテルテ前大統領は、犠牲者の遺族から法的な処罰を求める声が出ていることについて「責任は私にあるし、刑務所に入るのは私だ。命令に従った警察官ではない」などと述べ、みずからの責任を認める姿勢を示しました。
その上で「私は国のためにやるべきことをやった」と述べ遺族への謝罪は拒否しました。
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