ロシアのメディアが最近、国内経済の先行きに暗雲が立ち込めつつあると相次いで報じ始めた。ウクライナ侵略に伴う年10%近くのインフレを抑制しようと露中銀は政策金利を21%という異例の高さに設定しており、これが個人消費や企業活動を圧迫しているという。プーチン政権がトランプ米政権との連携を通じてウクライナ侵略戦争の早期終結を狙う背景にも、足元に忍び寄る経済危機への焦りがあるとみられる。
●ローン組めず、広がる買い控え
露有力紙「独立新聞」は2月上旬、「ロシアの自動車市場を待ち受ける連鎖倒産」と題した記事を掲載した。記事は、景気指標の一つである自動車販売台数に関し、業界団体の分析などに基づいて、今年の国内の新車販売台数が昨年比20%減の130万台程度になる可能性があると伝えた。また、新車のうち60万~70万台が売れ残っており、在庫は昨年の2倍に上っているとした。
中古車の販売台数も毎年減少が続いており、今年も昨年比で5~15%減となる650万~600万台にとどまる見込みだという。
業界団体トップは独立新聞に「市場縮小の主な要因は、高金利による買い控えの広がりだ」と説明し、多くの消費者が高い金利でローンを抱えることを恐れて財布のひもを締めていると指摘した。
同様の問題は住宅市場でも起きている。独立新聞の昨年12月の報道によると、露大手コンサル会社は「2025年の新築物件販売数は24年比で19~35%減少する」と予測した。
さらに、親政権紙イズベスチヤは2月末、高金利を要因として、昨年の住宅ローン滞納額が前年比63%増となる計950億ルーブル(約1600億円)に上り、過去最高になったと報じた。銀行はローンが不良債権化することに警戒感を強めており、1月に承認したローンは申請全体のわずか5%だったという。
経済紙ベドモスチも1月、多くの産業分野で金利支払いの負担が増大しており、「露経済は企業倒産の大規模増加リスクに直面している」と露シンクタンクが分析していることを伝えた。
企業活動に支障も利下げできず
プーチン政権も高金利が経済の足かせとなりつつあることは認識している。
実際、昨年末には露中銀が政策金利を24%まで引き上げるとの観測が強まったが、プーチン大統領が利上げに否定的な発言をしたことを受けて見送られたと報じられた。
また、ノバク副首相は昨年秋、露鉄鋼大手セベルスタリのモルダショフ会長から「現在の高金利では事業を拡大するよりも銀行預金する方がもうかる」と苦言を呈された。モルダショフ氏は「インフレ抑制のための高金利がむしろ企業の生産活動を低下させ、インフレを加速させるリスクになっている」とも指摘した。
レシェトニコフ経済発展相も今年1月、高金利などにより「露経済に冷却の兆候が見え始めている」と危機感を隠さなかった。
しかし、金利を引き下げてインフレのさらなる加速を招けば、ただでさえ物価上昇に苦しんでいる年金生活者や低所得者層に政権への不満が高まることが確実視されている。政権側としても安易な利下げには乗り出せないのが実情だ。
以下ソース
https://www.sankei.com/article/20250310-NHQLITCI3ZOBL...
返信する