報道によると、家族が回復した後も、本人は憔悴しきったままだったらしい。
おそらく「自分が議員をしていたせいで家族を苦しめ、危険に晒してしまった」
という罪業感から自分を責め続け、うつ状態になっていたのではないかと思われる。
現代の医学では、自殺者のほぼ100%が「うつ病」や「躁うつ病」という
“脳の病気”に罹患しており、それに伴う「希死念慮」+「自殺衝動」
という“症状”によって脳をコントロールされた結果、本人の真意に反して
自殺行動を取ってしまうことが明らかになっている。
人間は、「希死念慮」(「死にたい」という気持ち)があっても、
死への恐怖に打ち勝ち、なおかつ、生存本能という最大の本能に
逆らってまで自殺を決行することは非常に難しく、ほぼ不可能に近い。
フィクションで描かれるような理性を保った状態での「覚悟の自殺」
などというものは非常に稀であり、たとえば武士の切腹というのも、
厳密に言えば自殺ではなく、処分・処刑の一形態に過ぎない。
ところが、うつ病になると脳がエラーを起こし、希死念慮に加えて、
「今すぐ死にたい!」「今死なないと!」という強い焦燥感を伴う
抑えきれない衝動に突然見舞われることがある。
この「自殺衝動」という“症状”は、死への恐怖心や生存本能をも
軽く凌駕するほど強力であり、日頃どんなに家族思いの人であっても
遺される家族の気持ちを考えることが全くできなくなってしまう。
そのメカニズムを熟知している精神科医ですら、自身がうつ病になると
自殺衝動に抗えずにしばしば自殺に至るほどであり、ひとたびこの衝動が
生じてしまうと、理性、精神力、倫理観などは何の役にも立たなくなる。
たとえば、肺炎になると高熱が出るのも意思の力では抑えられない。
そして、肺炎で死亡するケースもあるが、同じように、うつ病になると
脳がエラーを起こし、その結果、自殺という形で死に至ることもある
というだけの話で、自殺というのは実質的には「病死」であるという
事実は、もっと周知されるべきだろう。
うつ病さえ寛解すれば、「希死念慮」や「自殺衝動」は嘘のように消え去り、
本人ですら「あの時、どうして死のうとしたのか自分でも理解できない」
「あの時、死ななくて本当に良かった」等と述懐する。
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