「人間が出すモノ」をめぐる素朴な疑問のひとつに「オナラはウンチの粒なのか」という問いがある。
仮にそうだとすれば、他人がかましたオナラはむろんのこと、自分がかましたものでさえ、迂闊には吸い込めないことになろう。
ましてや食事中にかまされては、他人のものであれ自分のものであれ、「食べ物にウンチの粒が付着するのではないか」との疑念が頭をよぎるのは必定だ。
ほとんど知られていないことだが、実は今を去ること20年以上前の2001年、オナラに関する研究を行ったオーストラリアの科学者らが、驚くべき結論を公表している。
研究のキッカケは、手術室で仕事をする看護師らから投げかけられた、次のような問いだった。
「手術室の中でオナラをすると、患者はなんらかの感染症の危険に晒されるのか」
研究報告ではまず、オナラの悪臭の正体は腸内細菌によって生成される硫化水素、メタンチオール、
硫化ジメチルなどの「硫黄を含む混合ガス」だとした上で、硫化水素とメタンチオールについて、以下のように指摘している。
●硫化水素は無色のガスで、腐った卵のような匂いがする。
大量の有毒物質を含んでいるが、オナラには少量しか含まれておらず、非常に危険であるとは言えない
●メタンチオールは野菜が腐ったような臭気を放ち、高濃度では有毒物質になりうるものの、やはりオナラには少量しか含まれておらず、人体への影響はほとんどない
以上の研究報告を総合すると、オナラは「様々なガスの集合体」であり、「ウンチの粒ではない」ことがわかる。
ただし、ここで忘れてならないのは、ウンチとともにある腸内細菌の存在だ。
というのも、オナラと一緒に腸内細菌がダイレクトに放出されれば、ウンチをまとった腸内細菌が空中を浮遊することになるからだ。
件の研究者らは「服を着ている状態でオナラをする限り、服がフィルターの役割を果たすため、腸内細菌が空気中に広がることはない」とした上で、次のように警告しているのだ。
「食べ物の近くで、ハダカのままオナラをしてはいけない」
いささかビミョーな結論だが、要するに「オナラをするにもTPO(時と場所と場面)をわきまえて」ということだ。
言うまでもなく、目の前にある食べ物にスッポンポンでブチかますなど、もってのほかである。
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