●子どもたちの姿に「心が変わった」
野戦病院の別の部屋では、8歳の少女ジナン・サハル・ムガリさんが全身をギプスで固定されていた。「彼らは私たちの前の家を爆撃して、それから私たちの家を爆撃した」「私はおじいちゃんの隣に座っていて、おじいちゃんが私を抱きしめた。おじさんは無事だったので、私たちを外に連れ出してくれた」。ジナンさんはCNNにそう語った。
母のヒバ・モハメド・ムガリさんによると、ジナンさんはこの爆撃で頭蓋骨(ずがいこつ)と脚を骨折した。
「病院に娘を探しに行って、ここで娘を見つけた」。言葉を詰まらせ、静かにすすり泣く頬に涙が伝った。
同病院の医師たちは、戦争の犠牲になった罪のない子どもたちを診るのはあまりにつらいと語る。しかし忙しすぎて、考え込む余裕はない。
アフメド・アルマズロイ医師は、けがをした子どもたちを見て「心が変わった」と打ち明けた。
同僚のアブダラ・アルナクビ医師は言う。「この子たちは明らかに民間人だ。家族と一緒にいて手足を失ういわれはない」
最新鋭の設備とスタッフがそろう150床の同病院は、サッカー場の片隅に急ごしらえで開設された。治療を求める人はあまりに多く、受け入れは重傷者に限定している。
●空爆の中の静寂
ボランティアの医療スタッフは24時間態勢で待機して、長時間勤務する。アルナクビ医師は言う。「昨日は午前3時から始めた。負傷者は4人。切断はなく、やけどだった。やけどは切断よりも悪い」「私たちは午後遅くまで起きていた」
同病院は主に外傷患者を受け入れているが、現地の医療態勢が崩壊し、不衛生な密集状態が感染症などの問題を引き起こす状況は、地域全体に広がっている。
「頭にけがをした男性は、傷口からウジ虫がわいていた」とアルナクビ医師は証言する。「彼らがどんな環境にさらされていたのか、我々には説明できない。医学的にも、どれほど汚い状況だったのか説明できない。外科医でさえも衝撃を受けた」
病院内はほぼ静寂だった。病室や集中治療室、手術室でスタッフが整然と患者の手当てをしている。だが戦争は常にそこにある。CNNが取材していた15分の間にも近くで空爆があり、大きなとどろきが響いた。医師たちは身じろぎもしない。1日に少なくとも20回は爆撃の音が聞こえるとアルナクビ医師は言い、「慣れてしまったんだと思う」と言い添えた。
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